山中三年ヒト来る如くネコ来たる
よく来た。まあ一杯。あ、脚拭いてから上がれよ。…目を覚ませば寝床だった(あたりまえか)。ちかごろは毎日が猫との共生である。犬なら野犬という絶滅種にちかい存在が居るが、ネコの場合はどうだろう。いちおうざっと勘定してみるとこの三年でわが山周辺で誕生したネコは36匹ぐらいにはなる。すべてミーチャンとこちらが勝手に名付けた雌猫の腹から生まれたものだ。偉大なる母ネコミーチャンはしかも感心なことにけしてヒトにはなつかない。こちらがほぼ毎日差し上げる食事はきちんと平らげるが、上げないからといって文句を言うこともなく、縁側に置物の如く正座していつまでも餌がでてくるのを待っている。父親は、知るかぎりでは初代チャタロー、二代目グレ…とかぞえてたぶん数匹に限定される。もっぱらこちらの家に上がりこんで餌をねだり、炬燵やストーブの周囲を駆け回るのは、彼女の子どもたちだ。数ヶ月で乳離れするらしく、半年経った子猫たちとミーチャンは仲は悪くはないが、群れることはもう、ない。来春にもまだミーチャンは子供を産む能力を有するのだろうか。ふとかんがえ、雨の上がった、午前八時の、まだ暗い空を見上げた。
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