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磯部らん 日記

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2020年07月29日
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カテゴリ:カテゴリ未分類

「デリバリー家族」




 たまたまテレビでデリバリーを特集していた。最近のメディアは偏っていて、国民の気持ちを不安に駆り立てるかのように煽って報道しているところに嫌気が差すのであまりテレビは見ないことにしているが、ある家族に目にとまった。日に何十件も配達をこなすベテランの出前館のお兄さんを追いながら、どんな家族がデリバリーをとっているのかを家庭まで追っかけて特集にしていた。

 ほとんどの家庭が小さなお子さんがいる家族だった。そして、決まって頼んでいたのが、ファミレスのハンバーグなどだった。「疲れて作るのが大変だったから」「共働きで家事をするのが億劫だったから」「旦那がいないので、店屋ものをとる事にした」「時間がない」などが理由で、まだ幼稚園児と思われる子にファミレスの料理をプラスチックの容器ごと机の上に並べて食べさせていた。番組スタッフの「美味しいですか?」という言葉にその子らは「おいちい」と答えていた。舌がおかしくなってしまわないかと思う。そんなに小さいうちから、ファミレスばかり食べさせられていて……とわたしは思った。

 家庭の味というものがなくなってきていると思う。大手飲食店のデリバリー、デパ地下のお惣菜、コンビニは「お母さん食堂シリーズ」として、煮付けなどのモノを家庭の食卓に並べている幸せ家族のコマーシャルを流している。それは、本当に幸せなことだろうか。チンするのではなく、野菜を洗い、切って、煮る。家族の好きな味付けにする。お父さんは、お酒のつまみになるようにちょっと塩味を聞かせて、子供には甘めに味付けをする、おじいちゃんは高血圧だから塩分は控えめにしましょう、とか家族の好みや体調を考えて調理をする。人は食べるものでできている。自分では味の再現が難しいものをデパ地下で買ったりするのは、たまには良いと思う。最近、名店もデリバリーを始めたので、小さな子供がいるとなかなか食べに行くことは難しい。そういったためにデリバリーを利用するのはいいだろう。だが、作るのがめんどくさい、共働きで家事が大変だから、といった理由で週に何回もデリバリーやコンビニ食で済ませる家族はいかがなものなのだろうか。

 「塩梅」という言葉があるが、それは自分で料理しながら味付けの感覚を調整しながら料理していくことだと思う。だが、今は○○ソースの素、絡めるだけで出来上がり!などの調味料も多く見かける。これも家庭の味が無くなってしまう気がして悲しい。母の豚バラとジャガイモのこっくり煮、胡椒がすごく効いていた父が作ってくれたコーンを炒めたもの、など食べるとその人を思い出す味がある。そういった家庭の味を大手メーカーの調味料が潰してしまっているような気がする。もちろん、素を使えば、おいしくなるだろう。でも、その味は、日本全国同じ味なのである。なんだか、怖いことのように感じるのはわたしだけだろうか。

 みんな忙しい、共働きをしないと子供を育てていくのが家計的にも厳しいだろう。でも、ちょっとテレビの時間や携帯電話を覗く時間を減らせば、おかずの一品くらい作れるのではないだろうか。炊き立てのご飯は炊飯器が用意してくれる。だったら、お味噌汁を作るだけでいいのではないだろうか。野菜をたっぷり入れた具たくさんのお味噌汁。15分だってかからない。お出汁の効いたほっとする味噌汁、ただそれだけで、十分だと思う。まだ小さなうちからファミレスなどの料理は子供の舌の教育や健康に対しても、よくないと思う。プラスチックの容器からプラスチックのスプーンを使って食べる料理は味気ないし、第一エコでもない。わたしはデパ地下で購入したとしても、そのプラスチックの器が器のような雰囲気を模したものであったとしても、必ず家の陶器などの入れ物に入れ替えて、きれいに盛り付けてから、食卓に出す。決して、プラスチックの容器を食卓の上に出すことはあってはならないと思う(これはわたしが親からそう言われて育ったからに由来するだけなのだけど・・・)。美的感覚を養うためには、絶対大事だと思う。洗う食器が増えてしまうから、という人もいるが、その食器を一枚洗うのに何分かかるというのだろうか(これも若い頃にわたしが親から言われた言葉)。

 とある区の区議会議員をやっている女性は、区議になる前に、魚グリルを洗うのが嫌だから魚料理は一切家ではしないの、と赤ちゃんを抱っこしながら笑って言っていた。その彼女は、子育てについて政策を語る。何か、おかしいと思う。魚をどう食べるかは、その家庭によるが、魚の匂いやグリルの洗い物が嫌だから作らないと言うのは、おかしいと思う。だって、それもひっくるめて家事だと思うから。家事は「家しごと」、家族の健康を守ったり、安全で快適な暮らしを整えるのが家事だと思う。(もちろん、わたしだってやりたくない家事はあるし、苦手なこともある)赤ちゃんがいれば、尚更、安全な環境を作るのも親の役目である。家事が苦手でできないという女性がいる。家庭がある、ないに関わらず「自分の生活を整える」のが家事とも言えるのだと、わたしは思うんだけどな、こんな考えはもう古いのかもしれない。もちろん、お金に余裕があれば家政婦さんを雇うのもありだと思う。現在放送中のテレビドラマや、そのドラマの最中に流れるコマーシャルでも、第三者の手を借りて生活のリズムを整えるのは、家族にとっても精神的に楽だろうと思わせられる。でも、それとデリバリーをとることで、時短と称して食事を疎かにすることはあってはならないとわたしは思う。

 食って大事。だって、「自分を作っているもの」だから、もっと口から入るものを大切にすべきだし、「食」との関わり方を見直してみたり、もう少し時間をかけるのも大事なことだとわたしは思う。

ただ、思ったことを書きづつってみました)






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最終更新日  2020年07月29日 21時21分14秒


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