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イスタンブールを中心としたトルコの情報やってます!
現地メディア・公的機関のホームページと、個人的体験に基づいた、全く勝手な「耳寄り情報」をお知らせします。 余りにも「前衛」過ぎて、付いて来られないかもしれませんが、お付き合い頂けば嬉しいです。 始めは、「経済情報」と「観光情報」を中心に書く予定です。 最近では、VISTAといってBRICsに次ぐ新興成長国として注目を集めているトルコの経済、そして何よりもイスタンブール証券取引所について書いてみようと思っています。 そして、イスタンブールのブルーモスク、アヤソフィア、ボズポラス海峡といった超有名どころから、アンカラのアタテュルク廟、アナトリア文明博物館といった少し地味ですが、まじめな施設についても書く予定です。
カテゴリ:社会問題
今日(10月26日)は、前回(13日)から2週間が経過しました。今回は激動(?)の2週間となりました。今回もトルコの最新の状況について紹介します。
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前回、「10月3日だったと思いますが、突然、エルドーアン大統領がバフチェリMHP党首を訪問しました。エルドーアン大統領とバフチェリMHP党首が会談すると大きな動きが起こるといわれていましたが、今回もそれが証明されました。既に10月1日の大トルコ国民会議(国会)新年度の行事で、バフチェリ党首がDEM所属国会議員が着席しているところまで行き、握手を求めました。その理由を新聞記者から聞かれて、『世界で平和を求めているにもかかわらず、国内で平和がないのはおかしい。(だからそうなるように行動した)』という趣旨の発言を行いました。表面的には何の違和感もない発言ですが、つい先日まで、『DEMはPKKと一体であり、PKKの手先の政党は解党する必要がある。DEMと協力するCHPもPKKの手先である』という趣旨の発言を繰り返していたことを考えると、今回のバフチェリ党首の発言を額面どおりに受け取る人は誰もいない状況でした。10月6日の段階では、バフチェリ党首の行動の目的は明確化していませんでしたが、その後、『憲法改正を行い、エルドーアン大統領が4回目の任期に立候補できるようにすること』であることが明確化しました。」と紹介しました。前回の更新後、「トルコで日本人観光客が乗った観光バスが横転してけが人が出た」という記事が日本で報じられていたために、このブログにもアクセスが一瞬増えました。このブログは最新情報を紹介するブログではありませんが、今回はトルコの交通事情を紹介しようかなと思っていてチャンスを逃していたのですが、その後、先週に入ってトルコで大事件が連発しました。 遅ればせながら、トルコの交通事情を少し紹介します。トルコの長距離バス事情としては、一時期日本でも問題になった「運転手が過労状態になっている」ということがトルコでもしばしば起こっていることが指摘されています。10年前、さらに言えば20年前はバイラム(砂糖祭・ラマザンバイラム、犠牲祭・クルバンバイラム)の時期には、大昔(昭和のころ)の日本の盆暮れ・GWや中国の春節の時期のように、帰省・長期休暇(旅行)で民族大移動(!)が起こっていましたが、インフレが激しく生活苦が広がっている状況のため、特にここ数年では「帰省・休暇を控える」人が多くなっています。それでも、飛行機や鉄道と比べると長距離バスの方が運賃が安いことが多いため、長距離バスは今でもよく使われているます。かつ、高失業率と高インフレ率(=経費削減)のために運転手を含む、バス会社の従業員が酷使される状況は変わっていないはずっです。そのため、長距離バスの事故は今でもしばしば報道があります。一方、観光客専門のバスの従業員は路線バスの従業員ほど酷使されていないと思いますが、それでも、日本人観光客だけに限っても、数年に1度は大事故が起こっています。基本的には、道路状況やバス自体の問題というよりは、過労やスピード超過など、運転手(対向車を含む)の問題が大きいのではないかと思います。 次に、「先週の激動」を紹介します。2ヶ月ほど前、8歳の女の子がディヤルバクル県の村で親族(実の母親と兄を含む)によって殺害された可能性が高いが、村全体、あるいは親戚全体が口を閉ざして犯人をかばっているという事件を紹介しました。この問題が解決する前に、今度は私立病院で新生児を何十人も殺して金儲けをしていた事件が明らかになりました。病気を抱えている場合は当然ながら、健康な新生児も集中治療室送りにし、いろいろな口実で殺害して、社会保険機構、場合によっては親からも治療代をせしめていたという事件が明らかになりました。この事件は何年も前から告発が始まっていたそうですが、過去数年間で検事が本人及び家族に対する殺害・暴行などの脅迫を受けながらも捜査を進めて公判に持ち込んだという事件です。過去数年間にわたる病院側の隠蔽工作には、病院関係者だけではなく、現・ (病院経営を行っている) 元大臣を含む、官僚・政治家も関与したことが指摘されています。過去10年余りで私立病院がトルコ全体の集中治療室に占める割合は20%程度から70%程度に増えているそうで(BOTの1つである市民病院も含む)、治療の必要性とは無関係に、患者をどんどんと集中室送りにすることで、私立病院は治療費を社会保険機構からせしめることで利益を上げようとする傾向が強まっていたそうです。この手法は、新生児だけではなく、大人の治療でも行われていたのではないかという重大な疑問も投げかけられていますが、新生児は何といっても苦情が言えませんし、ましてや患者が殺された場合には、大人であろうとなかなか真相が解明されていなかったということで、このような大事件がなかなか表ざたにならなかったようです。物価高・生活苦の問題が全く解決せず、女児殺害問題でも犯人が特定できない中で、このような大事件が起こった状況です。しかし、トルコでは、このような大問題も1日で消し飛んでしまいました。それは、今日の最大に話題である「クルド問題」が様々な形で出現したためです。 今回の発端は、22日にトルコ国会内で行われたMHPグループ会合で、バフチェリMHP党首が「オジャランPKK首領が釈放されたなら、トルコ国会内で行われるDEMのグループ会合に参加して『テロを放棄する、PKKを解散する』と叫べ。釈放されるための法的手当てを徹底的に支援する」という趣旨の発言をしたことです。これまで、特に外交で、「エルドーアン大統領による歴史的Uターンが連発された状態」について何度も紹介しましたが、今回のバフチェリMHP党首の発言は「PKK問題に関する歴史的Uターン」と断言できます。先日も少し紹介したと思いますが、昨年5月の大統領選挙では、エルドーアン大統領は「クルチダルオールCHP党首はカンディル(PKK本部)からの支援・支持を受けて行動している」として、現PKK最高幹部がクルチダルオール党首と一緒になって選挙戦を行っているという完全なでっち上げビデオを散々使い、かつ、そのビデオが真実であるといたるところで発言し、さらにはバフチェリMHP党首も「クルチダルオールCHP党首が大統領になれば、オジャランPKK首領、デミルタシュ元HDP共同党首をはじめとするPKK関係者を次々と釈放する」と、CHPもDEMも、PKKも一切発言していない内容について、一方的なでたらめ宣伝をしていました。それが、前述のような「歴史的Uターン」発言をし、さらに翌々日にも、バフチェリMHP党首は「クルド人を嫌いだというトルコ人はトルコ人ではなく、トルコ人を嫌いだというクルド人はクルド人ではない」とも発言しました。ここでの重要なポイントは、バフチェリ党首はこれまで「クルド人」という存在すら認めず、「クルドを祖先に持つ人」あるいは「クルド系」という言葉を使用してきましたが、今回は「クルド人」という存在を真正面から認めていることです。「テロリスト、テロ組織とは交渉しない。クルド人などというものは存在しない」から「テロ組織の首領を釈放するために措置を取りるので、同首領はトルコ国会内でテロ行為・テロ組織の終了を宣言すべし。クルド人とトルコ人はトルコ共和国を形成している基本的要素である」に歴史的大転換したことになります。 さらに問題を複雑にしたのが、バフチェリMHP党首の最初の「オジャランPKK首領の釈放とトルコ国会でのテロ終了・PKK解散宣言要求」の翌23日にアンカラで行われたPKKによるテロ攻撃事件の発生です。TUSAS(トルコ航空・宇宙工業会社、英語略称TAI)という国営防衛産業に2人のPKK所属の武装テロリストが襲撃を行い、侵入に使ったタクシーの運転手を含む5人が死亡し、22人が負傷するという事件(テロ実行犯の男女2名はそれぞれ自爆して死亡)が発生したことです。実行犯がPKK所属であったことは確定しています。しかし、その背景はまだ謎のままです。PKKはPYDやYPGなどの別の名前でシリアやイラクでも活動しています特にシリアに本部を置くPYD/YPGはISIS(イスラム国)台頭の後、ISISへの対抗勢力としてアメリカから資金や大量の武器、高度な軍事訓練などの支援を受けているといわれいます。また、シリア(及びイラク)に影響力を持っているロシアとイランも、トルコとクルド勢力の間の和解には、重大な関心を持っていることが容易に想像されます。また、オジャランPKK首領はPKKの創設者であり指導者で、収監されるまではクルド系市民(一定の部族関係者を除く)に対する絶対的な影響力を持っていましたが、トルコに収監されるまではクルド語がしゃべれなかった(トルコ語で教育を受け、収監後にクルド語の勉強を始めた)純トルコ系指導者であり、かつ、収監されてから既に20年以上がたっており、トルコ国内(特にDEM)で、さらにはイラクやシリアに本拠、強力な支部を持つPKK/PYD/YPGなどの組織・幹部に現時点でどれだけ影響力を持っているのか「はなはだ疑問あり」という状態です。 したがって、最も単純な見方は22日のバフチェリMHP党首の発言でPKKとトルコ政府が交渉を持っていることが明らかになったことに対して、カンディル(PKK本部)やPYD/YPGが(交渉外に置かれていることに対する)反発を示したというものです。また、トルコ政府とPKKの和解を快く思わないアメリカ、ロシア、イラン及びイスラエルなどの外国勢力の支援を受けた事件というものです。これに対して、「今回のテロは十分な準備が行われていることは明らかであり、バフチェリMHP党首の発言とは無関係である」というのが次の単純な見方になります。しかし、バフチェリMHP党首は既に10月1日の時点でDEMとの和解を明らかにしていますし、22日の発言も突然の思い付きということは考えにくく、また、22日の発言の直前に、数年ぶりにオジャランPKK首領とDEM所属国会議員である甥の面会が先週に認められていることからも、少なくともオジャランPKK首領とトルコ政府の交渉はかなり前から行われていることは明らかです。かつ、その事実も外(PKK現幹部)に漏れていることは十分に考えられるので、テロ準備もかなり前から行うことはできたはずという見方が有力になります。したがって、(1)PKKをはじめとするクルド系テロ組織現執行部のトルコ政府に対する反発、(2)クルドとトルコ政府の和解を阻止しようとする外国勢力の介入という可能性は、十分に考えられることになります。以上から、次の3つの可能性が考えられることになりそうです。 (1)トルコ政府(エルドーアン大統領とバフチェリMHP党首)がテロ事件を含めてすべてのシナリオを準備して、最終的にエルドーアン大統領の再選を実現させるために行動している(2015年6月と11月の2つの総選挙の間の期間との類似性(テロ事件の頻発)を指摘する解説があります。ただし、今回は「クルド票に期待する」という真逆の方向性です) (2)上記のエルドーアン大統領とバフチェリMHP党首の和解シナリオに反発しているカンディル(PKK本部)やPYD/YPGのテロ組織内勢力が存在しており、実際に妨害行動に出た (3)上記(2)のようなテロ組織内の反発勢力の有無にかかわらず、これらのテロ組織を利用してトルコとクルドの和解を阻止しようとしているアメリカ、ロシア、イラン及びイスラエルなど外国勢力が存在しており、実際に妨害行動に出た なお、アメリカ、ロシア、イラン及びイスラエルなどのどの外国勢力が「トルコとクルドの和解を阻止しようとしている」のかは、現時点では不明です。場合によっては、1つもないかもしれませんし、反対にいくつもの国が活動・関与しているかもしれません。あくまでも可能性の説明です。 長くなりましたので、今回はここまでにします。
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2024.10.28 02:18:46
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