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今回(1月31日)は、前回(27日)紹介できなかった統一地方選挙と、今日新たに起こった大事件について紹介します。
ブログ更新のための励みにしていますので、クリックを是非よろしくお願いします。 にほんブログ村 前回は、国内問題、とりわけトルコ経済に直結する問題として、シムシェキ国庫・財務大臣とエルカン・トルコ中央銀行総裁に関する状況と事件を紹介しました。そして、大臣と総裁が直ちに更迭されない理由を紹介しました。これ以外では、外交問題で、スウェーデンのNATO加盟承認と国際司法裁判所におけるガザ裁判へのトルコ不参加の理由につても紹介しました。今回は上でも紹介しましたが、統一地方選挙と今日発生した大事件について紹介します。 まずは、3月31日に実施される統一地方選挙に関する紹介です。以前、いつも紹介している解説者の「今回の選挙は統一地方選挙ではなく、イスタンブル選挙である。つまり、唯一意味のある選挙は大イスタンブル市長選挙だけである」という発言に関して紹介します。トルコでは県レベルで人口が100万人を超えている県が7、8県(イスタンブル、アンカラ、イズミル、ブルサ、コンヤ、アダナなど)あり、各県庁所在地の市長は意味がないという意味ではなく、エルドーアン大統領が注力しているのが大イスタンブル市長選挙だけだという意味であり、その意味はトルコの税収の半分近くがイスタンブル県から得られている“巨大な財布”という意味です。なお、行政範囲はイスタンブル県と大イスタンブル市は全く同じで、アンカラ県と大アンカラ市など、いくつかの県でもそうなっているため、大都市市長の権限は非常に大きくなっています。もう一つ参考情報として、トルコでは知事は基本的には内務省の公務員の中から大統領が任命しています。そのため、以前紹介したことがあったと思いますが、いつも紹介している解説者によれば、「大イスタンブル市長は、トルコ共和国大統領に次ぎ、トルコで2番目に重要な政治職である」とのことです。以上が、3月31日に行われる選挙が“イスタンブル選挙”と考えられる理由です。次に、選挙を巡る状況ですが、基本的に「与党は一致団結しているのに対して、野党はバラバラになっている」という状況であり、2019年に国民同盟(CHP+善良党)としてCHPが市長職を獲得している10大都市市長をはじめとして、「共和同盟の候補が勝利するのではなく、CHPをはじめとする野党候補が敗北する」可能性が高い状況になっています。与党に関しては、与党内の第3勢力である新福祉党(YRP)との調整が難航しており、大イスタンブル市長選に候補者を立てる可能性が残っています。もしも候補者が出た場合には、クルム元都市計画・環境・気候変動大臣の得票率が3~5%低下する可能性も指摘されています。一方の野党側は、善良党をはじめ、大統領候補であったインジェ党首の故郷党、ポピュリズム政党?の正義党だけではなく、繁栄党(SP)やDEVAなどの元6本足のテーブルに属している、あるいは、前回の選挙で協力関係にあった政党もことごとく候補者を立てている状態です。しかし、与党におけるYRPと同様に、イマムオール大イスタンブル市長に対する最大の打撃が懸念されているのが、これまで何度も紹介して来た、現在収監中のセラハッティン・デミルタシュ元HDP共同党首の奥さんであるバシャック・デミルタシュ女史が立候補する可能性です。弱小?野党が絶対に当選する可能性が無いにもかかわらず独自の候補を立てているのは、「存在感を示すため」などという正当な?目的があるのかもしれませんが、大部分は、エルドーアン大統領による野党分断工作の結果と考えられます。もしもバシャック・デミルタシュ女史が立候補した場合、5%前後の票がイマムオール大イスタンブル市長から流失する可能性も指摘されています。詳しい状況の説明はありませんでした(候補者として誰が入っているのか不明など)が、メトロポル社の最新のアンケート調査では、イマムオール大イスタンブル市長の支持率が41%で、クルム元大臣は38%とのことでした。したがって、YRPとDEM(デミルタシュ女史)が候補者を立てるかどうかが、今後最大の焦点になると考えられます。なお、CHPの最大の問題は、内部闘争、つまり、新指導部とクルチダルオール前党首を支持する旧指導部との路線の対立が続いていることです。それに加えて、DEMとの選挙協力の可能性を考慮しているためと言われていますが、CHPが強いと言われているイズミル県やイスタンブルのいくつかの区などで、投票まで2ヶ月を切った段階で未だに候補者が決まっていないことです。この点を含めて、3月31日の選挙は、“「共和同盟の候補が勝利するのではなく、CHPをはじめとする野党候補が敗北する」可能性が高い状況”になっています。 次に、“極めて重要な新たな事件”について紹介します。と言っても、現在のトルコでは全く驚かれない、あきらめムードの事件とも言えそうな事件です。これまで2回、憲法裁判所判決が「国会議員を、直ちに釈放すべし」と判示しているにもかかわらず、民事刑事最高裁判所刑事第3法廷がトルコ国会に対して「直ちに国会議員資格を剥奪すべし」と判示していたジャン・アタライ氏に対して、クルトゥルムシュ国会議長(前AKP総裁代理)が不在の間に、ボズダー副議長(前法務大臣)が国会でジャン・アタライ氏の国会議員資格を剥奪する宣言を行いました。以前も紹介しましたが、トルコ憲法には憲法裁判所の決定には全ての国家機関が従う義務があることが明記されているため、民事刑事最高裁判所の判決も、トルコ国会の今回の議員剥奪決議も、いずれも極めて明白な憲法違反となっています。なぜ、この時期に、このような対応を取ったのかは明確ではありませんが、いつも紹介している解説者は「エルドーアン大統領は自分がトルコにおける最高権力者であり、自分の意志に従わないものはすべて無視する力を持っていることを国民に示すためではないか」と説明していました。 前回説明しましたように、シムシェキ国庫・財務大臣とエルカン・トルコ中央銀行総裁を更迭せず、スウェーデンのNATO加盟を承認し、国際司法裁判所におけるガザ裁判は見て見ぬふりをするなど、エルドーアン大統領はトルコ経済を何とか回そうとしていると考えられますが、同じ解説者は、「エルドーアン大統領はトルコが、ロシア、イラン、サウジアラビアなどの国々以上の独裁国家になったことを世界中に宣言したことになり、トルコ経済が回復する見通しは今後数年間、完全になくなった」と指摘していました。 トルコリラ等の外貨建ても含めた債券投資に関する情報を発信しています。外債投資に興味のある方は、一度覗いてみてはいかがでしょうか。 社債投資まとめ
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Last updated
2024.02.01 10:00:47
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