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カテゴリ:経済問題
今回(2月4日)は、前回(1月31日)から全く違った状況も発生しています。今日は中央銀行総裁の解任と統一地方選挙を目ぶる状況について紹介します。
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シムシェキ国庫・財務大臣がいつ解任されるのか、あるいはあと2、3年は解任されないのかは不明ですが、“エルカン総裁は重要ではなかった”ことは判明しました。本人は辞任したつもりであり、シムシェキ大臣が土曜日(3日)未明に発表される官報告示の前に行ったSNSの発信でも明らかにされているように、エルカン総裁は形式的には辞任していますが、結果は大統領による解任という形になっています。辞任か解任かはそれほど重要とは思われませんが、「交代の理由」が極めて重要になります。それにより、金融市場への影響の大きさが変わってくると思われます。市場への影響の大きさについては、これも2説分かれています。政治関係を中心に扱っている記者を中心に、「金曜日に金融市場が閉まってから、次の総裁の発表と同時に行っている。ドル介入を行うなど、一定の対策を取ると思われるので、金融市場への影響は大きなものとならないだろう」という予測が中心になっていました。一方で、「今年末には1ドル=60リラを超えるだろう、エルドーアン大統領はインフレ対策を真剣に行うつもりはない」と指摘している経済学者は、「1ドル=60リラに向けて、リラが大きく売り込まれる」と予測していました。このブログを書いている段階で、日本の市場はすでに開いているため、結果は明白ですが、管理者は5日月曜日の時点ではそれほど大きな動きはないと予測していました。つまり、エルカン総裁の役割はそれほど大きくないという説を取っていたからです。それでは「なぜエルカン総裁が解任されたのか」という理由ですが、「金融政策においてエルドーアン大統領と意見が対立した」ということではなく、「(大学卒業後にトルコを離れたために)トルコのことを良く知らない人物が、中央銀行総裁の立場・役割を超えた言動を行ったこと」が最大の理由という説が有力と思われます。前々回紹介した“醜聞”も全く影響はなかったわけではないと思われますが、とりあえずはエルドーアン大統領が“中央銀行総裁を貶めようとする陰謀がある”と擁護したことから、それほど深刻な問題ではないと考えられています。先ほど紹介した“中央銀行総裁の立場・役割を超えた言動”とは、「金融政策ではなく、財政再作に対する口出しをしていること」がシムシェキ大臣の逆鱗に触れたという説が有力です。それに加えて、数々の“醜聞”のために、シムシェキ大臣が“より良い総裁候補として、ファーティヒ・カラハン・トルコ中央銀行副総裁を推薦した”とも言われています。理由は現時点では不明ですが、新しく総裁に指名されたファーティヒ・カラハン前トルコ中央銀行副総裁は、エルカン前総裁のような銀行家ではなく、マクロエコノミストであり、AKPに近い家系であることが知られています。したがて、カラハン新総裁がシムシェキ大臣の財政政策と対立することはなく、金融政策でも大きな変化はないことが予想されています。この説は信頼できると考えますので、管理者は「短期的には、金融市場ではそれほど大きな動きはない」と予測していました。 次に、大イスタンブル市長選を中心とする3月31日の市長・区長(市町長)・地方議会議員選挙に関する新しい動きについて紹介します。まず、立候補届は期限までに提出する必要がありますが、立候補の取り下げは基本的には投票日前日まではできますので、最終的な候補者が誰になるのかはまだ分かりません。それでも、これも前々回紹介しましたように、新福祉党(YRP)とDEM(クルド系政党)が、それぞれ大イスタンブル市長選挙で候補者を立てることになりました。前回紹介しましたように、YRP候補者はクルム元環境・都市計画・気候変動大臣から、DEM候補者はイマムオール大イスタンブル市長から票を奪うことが予測されるため、その影響は決して小さくありません。イスタンブルにおける潜在的得票可能性は、YRPが3~5%、DEMが5~10%と思われるため、とりあえずは、イマムオール大イスタンブル市長への影響の方が大きいと思われます。一方で、エルドーアン大統領がイスラム主義者ではなく、究極のマキャベリアン、御都合主義者であることは、エルドーアン教徒以外、あるいはある程度の常識のある人であればはっきりと理解しているため、“真のイスラム主義者”の支持を集める受け皿政党としてYRPに期待が集まっているという指摘もあり、「AKPも嫌だが、CHPはもっと嫌」という批判勢力の票を集める可能性が十分あります。反対に、「クルチダルオール前CHP党首には完全に騙された。もうCHPの手伝いをすべきではない」と考えているDEM支持者も多いと言われていますが、一方で、「イスタンブルをはじめ、イズミル、アンカラなどの大都市では絶対に勝つことはないと分かっているDEM候補に投票し、間違って?AKP候補が当選することになれば、それはそれで重大な問題だ。南東部の都市でも、再び口実を見つけて、我々が当選させた市長を解任し、代理市長が任命されることになる」と考えるDEM支持者もそれなりにいると思われており、「イスタンブルを中心に、CHPとAKP又はMHPの候補者が競り合う都市では、DEM支持者とYRP支持者が自党候補に投票するのか、当選が狙える候補に投票するのか」が選挙の結果に大きく影響すると考えられます。なお、エルドーアン大統領もイスタンブルをはじめとする大都市を中心に、簡単に自党候補が勝てると考えているわけではないということは、4日にハタイ県で自党候補者を紹介する会合での発言で明確にしました。つまり、「トルコ政府と市長が別の政党になれば、中央政府からその地方自治体には支援は行かない。去年の地震の後、ハタイ県に十分な支援が行われたか」と、各県・市で行われる選挙で共和同盟の候補者に投票するように、もしそうしなければトルコ政府から必要な予算が配分されないと明言しました。つい先日は、イマムオール大イスタンブル市長の発言に対して、「トルコ政府から邪魔されているという発言は、責任逃れに過ぎない」と批判していましたが、今回の発言で、「イスタンブルなどには予算は当然配分しない(融資を受けることも許可しない)。とことん邪魔してやった」と、本音を明らかにしたことになったと指摘されています。
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Last updated
2024.02.05 13:20:05
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