1895年から1945年までの約50年間、日本の植民地だった台湾。その時代に、学校で日本語教育を受けた人たちの人生をたどるドキュメンタリー映画「台湾人生--かつて日本人だった人たちを訪ねて」が中野区で初めて一般公開されている。監督は団塊ジュニア世代の39歳の女性。日本からの差別、日本への親しみ、日本が敗戦で引き揚げた後にやってきた戒厳令の時代--。5人の「日本語世代」から、波乱の人生が日本語で語られる。
私は1999年から2000年にかけて台湾に語学留学してました。中国語なんて全く分からなかったけど、最初はユースのドミに滞在しながらアパートを探していました。言葉が通じないのでアパート探しはけっこう大変だったのを覚えています。
そんな時台北の中心地にある日系のデパート新光三越前で缶ビール片手に連れと涼んでいた黄昏時。70歳後半から80歳くらいの老人が近づいてきて、「君達は日本人?」と流暢な日本語で話し掛けてきました。いや、こっちのほうがてっきり台湾で道に迷った年取った観光客が助けを求めてきたと思った。
とりあえず「あ~、はい日本人ですけど、何か?」
おじいさん・「日本人なら日本人らしく誇りをもちなさいよ」
うち等・「???」
おじいさん・「台湾が今こうしていられるのは、日本の統治時代のおかげでもあるんだよ。占領は悪い事だけど、占領時代の事をとやかく言うやつのことは気にするな。」
うち等・「は~??」
おじいさん・「日本の占領に比べればその後の国民党の弾圧のほうがはるかに酷かったよ。とにかく自分達の国に誇りを持ちなさいよ!そして日本語も大切にしなさい。」
うち等・「はい」
別れ際このおじいさんは見ず知らずの私と連れに住所を教えてくれて後日訪ねるように言った。数日後訪ねるとお孫さんと暮らしているらしい以外のことは分からなかったけど、アパート探しも手伝ってくれて本当に親切にしてもらった。あのおじいさん今頃どうしているだろうか・・・。
こいうことはその後同じ年代くらいのおばあさんにも言われた。「きれいな日本語を使うようにしなさいね」って言われた(笑)
逆に彼らの子供の世代というのは多少反日的であったりする(当時の教育のせいだろう)。
もちろんここでは台湾の日本統治時代を肯定するようなことが言いたいのではなくて、
外国に住んでいると自国の事が違った角度から見えることがある。また全く知らなかった事まで見えてくることもある。今イタリアに住んでいるけど日本に住んでいたら考えなかったであろうと言うような事を考えたり、イタリア人の日本に対する考え方がわかっておもしろい。
日本の歴史教育のあり方や愛国心に関することをここで語るつもりは無いけど、少なくとも自国の事を誇りに思うことを否定するような事があってはいけないし、また歪んだ愛国心も問題だろう。
ちなみにイタリア人は自分の国の事をよく馬鹿にしたりするんだけど(汚職や行政が機能しないせいで、まあ、首相があれなんで・・・)、でも自国をこよなく愛する民族でもあります。