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テーマ:イタリアの美味しい話(706)
カテゴリ:イタリアの食べ物
結局先週は客も来ないので閉めていた。今週の火曜日からぼちぼちと漁が再開されたようで、水曜から品薄ながらも営業を開始した。客足は、うーーん、まばらです。
今日はバッカラのモリーセ郷土料理を紹介する。 バッカラはからからに干した魚を水でやわらかく戻した食べ物。北欧で獲れるタラが塩漬けされて干されてからヨーロッパ各地に売られる。イタリアにも昔からそうやって北欧から運ばれてきた食品だ。タラは地中海にはいない。スケトウダラみたいなやつはいるけどすごい小さい。北の海にいるようなでかいタラはいないのだ。 各家庭で、食べる4、5日前に水に浸して完全に魚のやわらかさが戻ってから火を通して食べる。また、なぜか八百屋でよく、すでに戻したものが売られてる このモリーセのバッカラ料理は、Baccala' Arraganatoと言う。 普通、料理にArraganatoと付くと、荒めのパン粉Mollica di Paneをまぶしたオーブン焼き。Mollica di Paneはパンくずという意味。パン粉は普通Pane grattugiatoと言って日本のと比べたらものすごく細かい、さらさらした粉。しかしMollica di Paneは日本のパン粉より荒いぐらいなのだ。しかしこれはあまり使われることがないのでちょっと手に入りにくい。大きなスーパーでもあったりなかったりで、かと思うと行きつけではない小さな食料品店でひょっこりあったりする。 ウチではいつもミキサーで「日本のパン粉」を作って何にでも活用している。魚のオーブン焼きとかもイタリアでは普通細かいPane grattugiatoをまぶすんだけど、夫は日本のパン粉の荒さが気に入ってこれを使っている。 さて、この料理はMollica di Paneだけではなく松の実やクルミ、干しぶどうなどが乗っている。モリーセにしてはなかなか特徴があってゴージャスな料理だ。というかあまりにモリーセらしくないので実は他の場所がルーツじゃないかと疑っている。 これはナッツ類の香ばしさと干しぶどうの甘みが実にバッカラと合っていて、私はかなり気に入っている。こちらの人は甘い食材とかフルーツ系が料理に入っているのを嫌うから、これはかなり例外的な伝統料理だと思う。 作り方は4,5日水につけたバッカラの切り身に松の実、クルミ、10分ほど水に浸した干しぶどうを適当にまぶして、その上からMollica di Paneをたっぷり乗っけて、オリーブ油を(例によって)これでもかって言うほど満遍なく撒き散らして、オーブンで強火で焼くだけ。好みでパセリも。 日本だったら白身魚の切り身で代用できる?その場合はしっかり塩味をつけるほうがいい。バッカラは大量の塩で保存されているので塩は要らない。でもバッカラには干し魚特有の旨みがあるから、普通の切り身ではどうなるんかな・・・。 先週はなんだか開けてるんだか閉めてるんだかあいまいな状態だったけど、もし誰か常連さんが来たら出してみようと買ってきたバッカラを、誰も来なかったので早速調理してみたもの。なかなかおいしかった。パン粉は先述の自家製。アーモンドやカシューナッツも入れてみた。 バッカラはイタリアで人気があるし、私も好きだけど、鮮魚を食べなれている海辺の町ではあまり好まれないし、海鮮料理専門の店ではあまり扱われない。夫は以前のレストランでも出したことはないし、ここでも今まで扱う気はなかった。 実は時々お客に「バッカラやらないの?」なんてつつかれていた。そういう質問に夫は笑顔で適当に流すけど、密かに「俺は鮮魚専門だ!新鮮な魚しか扱わんぞ、べらんめえ!」みたいな心意気?があったみたいで、まともに受け取らなかった。 しかしここは山の中の町、みんなバッカラ好きだ。そして今回の漁業スト騒ぎでちょっと考え始めた。夏には禁漁期もあるし、こういうときにバッカラを出すと休業しなくてもいいんじゃないかと。 もしかしたら新メニューにすべく研究するかも。水につける時間とか、焼き時間とか夫もあまり慣れてないので研究の必要がある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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