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イタリアいなかまち暮らし

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2008.11.05
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カテゴリ:イタリアの食べ物

10月はじめ、もう結構前の話だけど、生まれて始めて栗拾いをした。
よく来る地元のお客さんが場所を教えてくれたので、その週の日曜日の午後に早速下見に行った。町から車で10分くらいくねくねした山道を行くと、車が何台か止まっていて、道の脇にはいがぐりが転がっていたので分かった。

その日は下見で、全然拾う気がなかったのでしばし眺める。結構急な斜面の藪の中を無理やり登らなければならない。藪はとげとげだ。それなりの服装で挑まなければならない。
するといままで休日の栗拾いを楽しんでいたらしい一つの家族が3世代そろって降りてきた。
気になる収穫物を見てみると、子供の手にはビニール袋に入った栗、そう、すでにイガを剥かれた栗が、スーパーで買ってきたかのように白いポリ袋に入っている。1~2キロくらいだろうか、3世代総出にしては多くない収穫か。

朝行くとよいと聞いていたので次の日がんばって早起きして、朝11時ごろ現地に着く。(これが休日私ができる精一杯の早起き)服はジーパンにスキー服のジャケットを着て来た。しかし上り口のとげとげの藪をすぎたら、そんなに藪が深くなかったのでいらなかったかも。夫は普通の服だった。
朝も遅いとはいえ月曜日だからかさすがに誰もいない。

2008-photo 277.jpg
こんな花がそこらじゅうに咲いていた。

2008-photo 287.jpg
イガが沢山落ちているが、ほとんどが空である。そう、栗拾いというと当然いがぐりを集めてイガだけ後から捨てると思っていたのだが、ここイタリアではいがぐりを拾ったその場ですぐ剥いて栗だけ集めていくらしい。まあかさばらなくて合理的なんだけど、紛らわしいだろー!!せめてまとめとけーー!!

上に登るにつれてぼちぼちと実入りのイガが見つかる。木になっているのも見えるのだが、非常に高いところにあるので届かない。
ふさがっているイガでも、つつくとすぐに割れる。非常に小さいものが多い。あまりに小さすぎてもしょうがないので、大きいものだけ採って行ったが、それで売っているものより一周り小さい。

2008-photo 279.jpg

写真は素手だがトングと台所用ゴム手袋を用意している。

2008-photo 282.jpg

何も持っていないイタリア式のイガの取り除き方は、両側を靴で挟んで踏んで素手で中身を拾う。
私は袋にとりあえずイガごと入れて集めて、袋がいっぱいになるたびに全部剥いてまとめてイガを地面に捨てていった。空のイガが散らばっていると後から同じ場所を通るとき栗入りかと思っていちいち確認しちゃうでしょ。

初めての栗拾いは、結構はまる。もっと栗を求めて無言で上に上にと登って行く。夫はいつものことだがすでに不参加モード。周りは静かで鳥の声しか聞こえない。ときどき聞こえてくるのが、「バサッ」と栗が木から落ちる音。つまり集めているそばから栗はどんどん落ちてくるのだ。

ここで「朝いちばんがいい」という意味が分かった。栗は自然に落ちてくるのだがそこに人がいるかぎり採られていく。夜に栗拾いをする人はいないので夜の間に落ちた栗は採られずに地面にたまっていくのだ。そこを朝一番に行ったらごっそりとれるのだ。

まあ私たちの行ったときも、遅かったのにもかかわらず一番乗りらしかったから結構収穫はあったのだ。

2008-photo 291.jpg

栗が大きく見えるのは私の手が小さいせい。

帰るときバトンタッチで一人のおじいさんが来た。私たちがごっそりさらった後なのに。まあ慣れてる感じだったから毎日来てるんでしょう。

さてもってかえって電子レンジでチンする(いつもの私たちのやり方。切れ目を入れた栗をレンジ容器に10個くらい切れ目を上にして並べ、1分~1分半チンする)。

味は、甘い!!小さくて剥くのが大変だけど、味が濃くて甘い。

そうそう、まず説明が必要だった。イタリアの栗はMARRONEとCASTAGNAと呼ばれるものに種類が分かれる。MARRONEは大きくて甘いらしい(あまり手に入らないのでよくわからん)。一般的に売っているのはCASTAGNAで、小さくて、実が固くしまっていて味が濃い。旨みもある。しわが深くて渋皮もしわの中に入りこんでいるのだが、渋皮はパリッとしているのですぐにとれる。

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CASTAGNAは、日本の栗とはかなり違っていると思う。(まあ天津甘栗ではなく準日本産の栗をどれだけ私が食べたことがあるか、記憶があるか、というと怪しいのだが)

とにかく日本と違うこの味、イタリアに観光に来る人は、この時期街頭で焼いたものを売っているので、試しに食べてみて。

この栗が当たりだとすごいおいしいのだ。噛むと「ぽりぽり」というほどの歯ごたえと、噛むほどに広がるうまみ、独特の甘み、そしてなぜかほのかにいい香り・・・シナモンのような甘い香りがする。まあこれらの味を全て持ち合わせるものはなかなか出会えなくて、1冬に1回めぐりあえる程度。

この拾った栗は結構当たりだった。これを食べつくしてからも何度か買ってきているが、今年は未だにこれ以上に甘いものには出会っていない。

しかしうす皮が生乾きのせいか、実から非常にはがれにくい。しかし1週間風通しの良いところにおいておくことで解決した。

とにかく娯楽もないこの町で、休みの日にどこにも行くあてもない中、暇がつぶせて、運動にもなって(お決まりの筋肉痛に・・・)、無料どころか良質の食料まで手に入る遊びだった。栗は結構おなかが膨らむから、もし他に食べ物がなければ3日はこの量の栗で腹が満たせるだろう。お得なものだ。

これならもっと人が来ていてもよさそうなものだが、夫にそういうと、栗拾いは昔食べ物のないときにしたのであまりイメージがよくなくて、レジャーとしてとらえられていないそうだ。
実際後から夫が人に「妻を連れて栗拾いに行った」と言ったら、「レストランで働いて疲れてる奥さんをそんなことにまでかり出して!」と言われていた。完全にレジャーではないんだな。

それでは今日はこの辺で。Yes, we can





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Last updated  2008.11.06 02:01:21
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