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カテゴリ:イタリアのお役所仕事
夫はこの3年間に2回もインフルエンザにかかった。そのたびに店を閉めるから、結構なダメージだ。
インフルエンザの治療に日本で最近よく使われるらしい抗インフルエンザウイルス薬や検査キットは、実際に使われたという話をイタリアで(身近で)聞いたことがない。とある日本語サイトでは「インフルエンザかなと思ったらすぐに病院にいって診断して薬をもらうのがいまや21世紀の常識」とまであったのに。(この薬は、かかって48時間をすぎると効かないそうな) まあ病気へのそういうすばやい対処はイタリアらしくない。病気になると医者にあうために長蛇の列に並んで~、検査を予約して~、数週間先にやっと予約が取れて~、あっちいって~こっちいって~・・・とやってるうちに自然治癒してしまうのがイタリア式治療。 もっとも私たちもインフルエンザにかかってすばやく医者に行ったことなどないので、「絶対抗インフルエンザ薬で対処してくれない」とは言い切れないのだが。この薬の存在を知ったのが最後に家庭医にかかった後で、それ以来聞きたいと思いつつ行く機会がないので聞いていない。 とにかく、それで今年はワクチン注射を打ってもらいに行かせた。一応家庭医の診療所に電話で聞かせたら、受付が、(夫の患者記録を持つ)家庭医に、受けてもいいかどうか聞いてくれた。すぐにOKが出た。 その後行ったらその場ですぐ看護婦にやってもらえたのだ。イタリアの医療にしては珍しく、処方箋もいらないし、長い待ち時間を経て医者に直接会わなくてもよかった。 しかもタダ!職業はコックだと言ったらタダでできるとのこと。公共性のある仕事だからか。ウェイトレスもただになるそうだが、私は夫からうつされない限りかかったことはないので遠慮しておいた。 よく調べず、生半可な知識で「日本に行くんだからそのワクチンって日本のインフルエンザにも効くかどうか聞いておいてよ。それって確か『香港』と『ソ連』って名前だから」と言って送り出した私。 インフルエンザワクチンを注射するときに、熱があったらいけないとか、卵アレルギーはダメとかいろいろあったはずだけど、帰ってきた夫の話、何も言われなかったそうな。(ちなみに、注射した夜は風呂に入ってはいけないというのは日本独特で、あまり意味はないらしい。日本でも最近言わなくなったって。)まあ夫の体質を知っている家庭医からOKが出たんだから大丈夫ってことなんだろうけど。 それで夫は、自分から聞いた。 「あの、インフルエンザワクチンを打つのは初めてなんですが」 看護婦「誰でも初めてのときはあるのよ」 夫「これはアレルギーを起こすものは含んでないんですか?」 看護婦「大丈夫ですよ~」 夫「どういうインフルエンザに効くものなんですか?」 看護婦「『オーストラリアン』です」 夫「あの~、これは外国・・・例えばドイツとかに行ってもきくものですか?」(この質問が非常にしにくかったので、なせか近隣のドイツが例えに出てきたらしい) 看護婦「そうねー、効きませんね。イタリアのインフルエンザだけです。でも型が違っててもちょっとは効くので軽症で済むそうですよ。」 解説: イタリア人は自分の専門のことでも細かいこととなると知らないことが多々あるが、さすがに自分の仕事に対する無知をさらすのは気がひけるらしく「知らない」とは言えない。その代わり口からでまかせがぽんぽん出てくるというわけだ。 これはイタリアにいると専門家やら専門店の店員やらあちこちで出会う現象である。 後でネットで調べると、インフルエンザウイルスというのは世界中で大体同じものが流行しているという話。 ABCという型があって、A型が感染力が強く世界的な感染を起こすもの。これが香港型とソ連型の2種類。 普通ワクチンはこのA型香港と、ソ連とB型をミックスした混合ワクチン。 今年の北半球の冬に向けて準備するべきワクチンをWHOが発表しているが、そのうちの香港型とソ連型が、今年の冬(こっちでは夏)オーストラリアで猛威を振るったインフルエンザウイルスをブリスベンで採取して作ったものらしい。「ブリスベン」という名前がついている。だから看護婦は「オーストラリアの」といったらしい。 詳細を書いたものをもらってこなかったので未だに何を注射してもらったのか分からないが、まずWHOの発表に沿っているだろうし、それなら日本でもどこでも北半球なら同じものだろう。これで、運が悪くない限り、日本に行ったからといってイタリアでは想定されていないインフルエンザウイルスをゲットなんてことはないはずですね? まあ型が違っても多少は効くというのは本当らしいけど。 ちなみに相方は打った後「体がだるい」と言ってた。ホントかなぁ。気のせいじゃないかと思ったけど。 あと、この看護婦の腕のためか、2日後くらいまで打ったところが赤くて痛んだ。 この看護婦、おもろすぎる。 いや~、しかし私がしっかり調べてから夫を送り出すべきだった。うっかり怠ったけど、イタリアでは何をするにも事前に予備知識を得なければならないのは原則でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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