|
カテゴリ:その他各国の料理
カンポバッソは昨日また雪が降って、積もったけど夜には雨になって全部溶けました。
帰国の際日本でケフィアの素を買ってきた。おうちでつくれる コーカサスヨーグルト2g*12包 ケフィアとはヨーグルトみたいなものだ。 従来のヨーグルトの発酵菌であるブルガリア菌やサーモフィラス菌ではなくなんかそれ以外の乳酸菌が数種類いろいろと、酵母も入っているので「ヨーグルトと呼ぶな」と言われるらしい。日本の規格ではそういう区別はなく、乳酸菌あるいは酵母で発酵させてるものは全部「発酵乳」だそうだ。ケフィアで発酵させたものは酸味もあってヨーグルトっぽいし、ヨーグルトのような味がするのでやはりケフィアヨーグルトといっていいだろうと私は思う。 そしてこれ、昔はやったヨーグルトきのこと同じものらしい。話に聞くだけで食べたことはなかったが。 ケフィアはもともとコーカサス地方で受け継がれた発酵乳で、ブロッコリーのような株が形成されて、その株を種として次の発酵乳を作る。そうやって代々各家庭で継がれていったらしい。株は増えて人に分けたりもできる。 ヨーグルトきのこはこの株を日本に持ち帰り、人に分け与えて広まったものだ。しかしそうやって人の手と世代を継いでいる内に変化してしまっているので味が違うといわれる。 ケフィアの素は原産地の発酵菌をフリーズドライさせたもの。 イタリアではケフィアの素は売っていないが、相方は昔イタリアでもヨーグルトきのこらしきものがあったと聞いたことがあるらしい。 なぜこれを持って帰ったかというと、またこれもケフィアと従来のヨーグルトとの重要な違いの一つなのだが、ケフィアは室温でも作ることができるのだ。ヨーグルトの発酵適温は40度くらいなので常に暖めておく必要がある。 これまで何度かペットボトルごと温かいお湯に浸けておくやりかたで作ったことがあるが、常に40度というのはちょっと難しい。しょっちゅう温度を計って、火にかけたりおろしたりと手間だ。 牛乳が1リットル1.5ユーロほどなのに対して、ヨーグルトが1kg1.8ユーロ(MDにて。ドイツ産)で買えるので、はっきり言ってこれでは意味がない。 ケフィアなら室温でほっておけると知って飛びついたのだ。 そもそもヨーグルトを作る動機はあまりない。ヨーグルトそのまま食べるのは今でもちょっと苦手だし、習慣づけて毎朝ちょっとづつ食べることはできるけど、なんせもともと便秘体質でないのであまり重要な意義がない。 ただしヨーグルトドレッシング(グリークソース・トルコソース)過去の日記を参照は好きなので常備しておきたいことと、大好きなインド料理によく使うこと、便秘じゃなくてもまあ体に何かいいだろうと思って飲むという動機。 あとは発酵させるということの好奇心というか・・・発酵という現象には非常に魅了される。子供向けの科学の実験みたいな気分になるし、食べられる植物を育てるのとも似ている。 それにしてもケフィアの素は1リットル分で160円なので牛乳代を足したらヨーグルトより割高になってしまう。ケフィアはまた違う乳酸菌を摂取できて健康だからと思って納得することに。 イタリアに帰ってきてさっそく作ってみた。 言葉どおり室温で作れると思っていたが適温は20度から30度らしい。って、冬だと暖房のがんがん効いた「室温」じゃないか?レストランは営業時間は暖房を入れてて暖かいが、それ以外は20度を切る。 そこで厨房のガス台の上部の換気扇の部分に入れておく。そこなら一度火を使えばしばらく暖かい。夜は家に持って帰って朝またレストランに連れてきて・・・なんて子供じゃあるまいし、面倒なのでお湯を沸かした鍋の上に置いておく。冷めてから次の朝沸かしなおすまでは発酵もお休みだ。 この方法でだいたい1日半から2日でできる。ケフィアでできるヨーグルトは、普通のヨーグルトより少しゆるい、飲むヨーグルトとの中間のようなものだ。固いヨーグルトとして使う場合は水切りをすればいいので問題ない。 1回目 「高温殺菌の牛乳で作ってくれ」と書いているが、夫によるとイタリアの普通の牛乳は沸騰寸前に加熱するらしいのでまあ高温と勝手にみなして普通の牛乳で作ってみた。S.Giorgio(モリーセローカル)の牛乳。牛乳のふたを開けて、ケフィアの素を入れて、少し振ってあとは上記の要領。 この牛乳、もともと乳臭いんだけど発酵させたらますます乳臭くなってとても飲めなかった。乳臭さと発酵臭で非常にまずい。私は牛乳臭さとかヨーグルトの匂いがもともと苦手だから、夫に判定してもらおうと飲ませてみたら、夫もまず~い、と顔をしかめた。しかし普通の牛乳でも普通のヨーグルトを種にして発酵させるとちゃんとおいしくできるのに。ブリヤニライスを作るのに使って残りは捨てさせてもらった。 2回目 乳臭さに閉口したので、前回書いた自販機の無殺菌生乳を使ってみた。これはさすがに無殺菌なので、まず鍋で沸騰させてから冷まして、熱湯消毒させたビンに入れてケフィアの素を入れる。 しっかり固まった2日後、匂いをかいでぎょっとした。S.Giorgioの牛乳臭さこそはないけど、飲めるのか?というような強烈な匂い。なんというか、ご飯を3、4日暖かいところで放置して酸っぱい匂いがし始めたときのような、あるいは子供のころ飼っていたインコのフンのような・・・鼻がきゅーんとする匂い。 恐る恐る飲んでみる。飲めることは飲めるのだ。これが腐敗だと口に入れたとたん吐き気がするのだが、飲めるのでかろうじて発酵と言えるということか。しかし強烈な匂いでどう考えてもおいしくない。夫も同じ。 ケフィアは数種の菌での複合発酵なので複雑なにおいがするのはわかるが、それにしても強い。本当に大丈夫なのだろうか?無殺菌乳の沸騰が不十分で変な菌が繁殖したか? ネットで検索したが「ケフィア 臭い」とか「ケフィア まずい」「ケフィア 失敗」とか入れても私のような「作ってみたらすごい変な匂いがするが食べれるのか?」という質問は現れない。 「発酵食品は失敗したら勇気を持って潔く捨てる」というポリシーを貫きたいものの、捨てきれずに冷蔵庫においていたその夜、救世主が現れたのだ。 その夜の客、6人1グループの中になんとケフィアの本家、ロシア人とウクライナ人がいたのだ。もちろん外見からは分からないけど、たまたま客はそのグループだけだったしやや若めの気さくな人らだったので夫が行って雑談などしていたときに判明した。 それが分かると早速私はケフィアを持っていって聞いてみた。 「kefirって、分かる?」 なんともロシア人に対して変な質問。私だったらもしイタリア人がいきなり寄ってきて「納豆って知ってる?」って聞かれたような気持ちだろうか。だって切り出し方が分からないし、本当にそういう名前で呼ばれてるのか分からないじゃない?多言語国なんだし。 でも答えは「ケフィア!うんうん!」って感じだったので「自分で作ったんだけど、なんか変なんです。失敗したかなと思って」と言って味見してもらった。 反応は、「全く同じ。ケフィアそのもの!」 ウクライナ人も「ウクライナのケフィアはもっと匂いがきついくらい」 だそうです!パンパカパーン、おめでとう!!(自分に) ちなみに粉状のケフィールの素はあちらでは売ってないそう。驚かれた。 不思議なもので本家からのお墨付きをもらってからは匂いも気にせず飲めるようになった。 それにそういう気持ちとは別に、2,3日たったらなんと、匂いが徐々に消えて非常にマイルドになってきたのだ。なのでこれは全部消費した。 3回目 現在冷蔵庫にある。前回のように非加熱乳だと沸騰させて、器も熱湯消毒して・・・と面倒なので、殺菌済みの牛乳を買うことに。この前の乳臭い牛乳は絶対いやだと思って地元外の会社を見つけたのがGranorolo(全国規模の会社のもの)。しかし高温パスチャライズで賞味期限が冷蔵庫で3週間も。UHTでもなく変わった位置づけの牛乳である。初めて買ったが乳臭さはまあまあ。 種菌1本160円を節約するため前回のヨーグルトを種にした。コップ3cm分くらい入れたら1日で固まった。匂いは前回のように強烈ではないが少々の乳臭さはある。でも気にならないくらい。 あの強烈な発酵臭は非加熱乳のみで起きるってことか?しかし発酵くさいか乳臭いかどちらかしかないのか? 次回の発酵はまた非加熱生乳で再実験する。もちろん種は植え継ぎで。 やっぱり発酵って面白い。( ̄ー ̄)ニヤリ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[その他各国の料理] カテゴリの最新記事
|