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カテゴリ:副腎疾患
電話相談を受けて話題に出した内容で、過去資料がありましたがPCが壊れたために
取り出せない状態ですので、お話をして流れてしまいやすい内容を文字化して知識の定着を意図したものです。テキスト情報として提供します よく使う薬の紹介 文責:フェレットのサプリメント研究開発者永池清詩 著書:フェレットの愛し方2000年発行 フェレットの愛し方Ⅱ2010年発行 ペットの栄養学2002年発行、ペットの栄養学Ⅱ2012年発行 フェレットでよく使う薬の栄養に影響する面でのご紹介をします。 リュープリン フェレットではリュープリンは副腎疾患の時に使う薬です。脳に作用をし、その影響で性ホルモンの生産を一定期間止める薬です。接種後には脳からの性ホルモン生産命令が一時的に増えます。そして命令ホルモンを作れない状態になるので結果として性ホルモンの生産がされなくなります。 通常の生命では性ホルモンは95%が生殖器、5%が副腎で生産されます。フェレットは避妊去勢されることでほぼすべて(95%は表現としてほぼすべて)の性ホルモンを作る工場がないために、5%の生産工場の副腎に命令が集まる状態になります。そうすると小さな工場で多くの指令があるために、副腎では工場の能力以上に命令があるために働き、そして痛んでいくことになります。副腎の癌の原因は活性酸素が原因ですので、尿検査で処理状況を確認しながら体の痛みをケアすると副腎癌の確率は減らせるでしょう。 副腎疾患の時にリュープリンを使うのは上記の通り、一定期間の副腎の休憩期間を作るためです。その間に副腎が修復すればいいでしょう。ただ、癌化している場合にはリュープリンはノーケアですので、増殖することを止める作用はありません。副腎がリュープリンで小さくなるのは、細胞の異常というよりも、少し働きすぎて腫れているような状態をイメージください。細胞の異常の癌を処理しているわけではありません。 一時的に性ホルモンが多く出す反応が起きることで、性ホルモンが消費する栄養素が一時的に増えることになります。そこで栄養管理の必要性があるのです。 性ホルモンの影響について少しご説明をいたします。女性は性ホルモンの周期を判断するために体温で把握します。つまり、女性ホルモンは体温を上昇させるのです。仮に50kgの時に70%が水であり、35kgの水を常時体温1度上昇させるのにはたくさんの熱量を使います。ですから、25歳ほどが女性ホルモンのピークと言われ、カロリー消費、基礎代謝が高い年齢と、40歳50歳の女性ホルモンの生産量が減ってきたときに同じ量の食事をしていたら、体に蓄積します。同じものを食べているのに、細いと蓄えがある状況になるのは、栄養消費に関係してきます。 男性は男性ホルモンが筋肉を作るのでホルモンが十分あるときには筋肉を作る能力が高い時期があります。つまり様々な要素がありますが、性ホルモンは体の栄養消費を増やしたり減らしたりする作用があるのです。 となると、リュープリンで一時的に性ホルモンの量が増えると、比例して栄養消費も加速することになります。栄養が足らなくならないように管理をせねばならないのはこういう理由です。 リュープリンを副腎疾患の時に使うのは癌が小さくはなりませんが、副腎の休憩により大きさが小さくなればいいし、脱毛の改善、女の子なら陰部の肥大を収め、男の子なら排尿障害をクリアーしたいときに行います。私の信頼するフェレットをよく診察する獣医さんは最近「リュープリンは毛が生えるだけの作用ですがそれでもやりますか?」と言ったそうです。私は必ずしもそうは思いませんが、副腎腫瘍の時の重要な薬をそういう評価を臨床の場で感じるということに少し驚きを感じました。この見解はいいことだと思います。 男の子と女の子は体の仕組みが同じではないので分けて考える必要があります。同じ脱毛にしても性別で発生する仕組みは違います。 男の子の脱毛は、男性ホルモンが多いだけでは起こりません。男性ホルモン(テストステロン)が毛根と前立腺に存在する酵素(5αリダクターゼ)の作用により、デヒドロテストステロンという状態に変更させます。このデヒドロテストステロンを私は名前が長いので悪者性ホルモンと呼んでいます。細かく仕組みを記せばもっとありますが、男性ホルモンが酵素で悪者性ホルモンに変わる。この悪者ホルモンが脱毛と前立腺疾患の問題とご理解されればよいです。そして、この酵素の動きをターゲットにすることで悪者ホルモンにならないようにすると脱毛も、排尿障害も軽く、そして無くなっていきます。この仕組みに出会い、排尿障害を解決できていったのが2004年以降のことです。 女の子はこの酵素そのものがないので男の子とは違う仕組みで脱毛が起こります。また、陰部の肥大は単純な女性ホルモン過多と考えます。 女性ホルモンは肝臓が悪い場合、肝臓で分解されなく生産量は変わらないでも体内での存在する期間が長くなり、量が増えます。これは人間でも、男性が肝臓の悪い時に胸が膨らみ、ひげが薄くなるなど女性化します。結果として、女の子では肝臓が悪いと女性ホルモンの影響が強くでて、インスリノーマも重篤化するイメージをお持ちください。逆に男の子は女性ホルモンが男性ホルモンを打ち消すために、症状が軽くなることも理論上は起こりえます。 ということで、リュープリンを使うことで消費される栄養素があります。また、不調時には体の修復でも栄養素が必要になってきます。さらに、同時に起こる健康事情によっても、ほかの投薬によっても栄養消費があります。結論的にすべての事情を包括して栄養不足にならないように管理するのが大切で、一つの薬、一つの病気のみで論ずることはできません。したがってその子の健康状態を見据えて必要な栄養素の種類と量の見極めをつけていくことになります。この資料はその参考になさってください。 このリュープリンはフェレットにメーカーが利用をお勧めしている薬ではなく、ほかの薬の大半もメーカーの保証する利用外の存在になります。作用や副作用など使い方はメーカーの提示する情報ではなく。動物病院で独自にしている薬であるという認識をお持ちください。これは特別なことではなく、そういうものであるという認識でお願いします。 リュープリンはフェレットによく使う薬であり、開発メーカーは日本の武田薬品です。ですので、わからないことがあればメーカーのお薬相談室に電話をして情報を得るようにします。また 他、著書、各種冊子を参考になさってください。お大事に 2021/03/12 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.03.16 09:51:32
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