紀子（松坂慶子）と同棲している宏（中村勘九郎）は彼女に迷惑をかけてばかりではと思い、ダムの工事現場で働く事にする。そこで出会ったのが矢沢源太郎（渥美清）だった。給料は全部自分のために遣うきままな中年独身男で、朝まで酒を飲んだ翌日は仕事をズル休みをする、そんないいかげんな男だった。でもどこか憎めない人なつっこさがある。彼が現場にいると明るくなるのだ。そんな源さんに世話になる新米の宏だったが、自動車事故で腕の骨を折ってしまう。仕事が出来なくなった宏はギブスを着けたまま東京に帰り、また彼女の世話になることになる。飯場で稼いだ金をパチンコで遣ってしまう宏をたしなめる紀子だったが、ギブスが取れたころ、警察から連絡があった。東京に知り合いが居なかった源さんが宏を身元引受人として呼んだのだ。喧嘩の仲裁に入った源さんが巻き込まれ、当人達が逃げた後、一番酔っていた彼が警察に連行されたと言う事だ。源さんと宏は再会を祝い、毛ガニで一杯やったのだが、食中毒に当たる。源さんはそのまま寝込み、宏と紀子の部屋で養生することになった。そんな中、紀子の伯父が訪ねてくる。源さんが寝ている横で、紀子を利用しているだけだと宏を攻める。見かねた源さんがその話に割って出る・・・あんたは間違ってるよ！と伯父に言い聞かせる。元気になった源さんは、宏を旅に誘う。瀬戸内海の島へ。次の現場があると言うのだが、そこは源さんの故郷だった。島には父と女房、そして子供２人が居るという。仕送りも滞り、もう５年も帰っていないので、一人では帰りにくいから一緒に来て欲しいという事だった。島に渡る船に乗る前にためらった源さんは乗らず、宏だけが島に向かった。そこで源さんの家族にあった宏は、辛い現実を知ってしまう・・・／監督・脚本が、『男はつらいよ』シリーズの脚本に携わった宮崎晃。主演・三浦宏役に撮影当時20才の中村勘九郎(現・勘三郎)。工事現場の先輩中年男、矢沢源太郎役に渥美清というこの映画、男はつらいよの番外編と言っていいぐらい、矢沢源太郎は寅さんのキャラに似ていました。監督もそのへんは意識していたのかわかりませんが、工事現場で働く寅さんって感じで面白かったです。寅さんファンにはお薦めの一本。
