さっちゃんと９人家族

  久しぶりに兄、柳田耕治のレッスンの聴講をいたしました。

実に興味深く又楽しいです。

より良い音楽をつくるために必要なことは、今以上に表現の幅を広げること。そこに必要なことは実は基本的な部分（テクニック）に余裕を作り出すこと。

生徒さんのレベルが違ったとしても、兄が問いかけることは同じことなんです。無駄なく効率的にしかも可動範囲を広げて余裕を生み出す。

何年も前のことでした。バレエのジョン先生のお嬢さんがVnを習っておられたとき、おなじVnを弾く私に先生は問われました。
「どうしてVnの先生は、次々と新しくまた難しい曲を生徒の課題にしていくのか？バレエは常に原点に戻って1から身体の在り方（テクニック）を確認していくのに・・・」

その時私は
「バレエのようにVnのテクニックというものは、確立されていなくて、そしてあまりにも細かな動きをするために、一人ひとりの持つ指や腕の状態の違いによって非常に違ったスタイルにせざるをえないからでしょうか・・・」
と言ったような気がします。そのことを兄のレッスンを見せてもらいながら急に思い出したのです。

あ！！兄がやろうとしていることはまさにジョン先生が？？と思ったこと実行しようとしているのではないか。

自分の身体という楽器の一つ一つのポジションをより一層正確に知り、細やかにコントロールすることを学んでいくことがバレエのテクニック。
それはそのまま楽器の演奏をするときのテクニックに置き換えることができる、ということがすっきりと頭に入ったのです。

その人にとって最も合理的で無駄のない方向性を伝えてくれる人が先生。この前のオケの練習で指導して下さった山本先生も迷いなく、これが良い！！と言って下さる。
より良いものへの物差しを示すことができる人と言ってもいいかもしれないです。

ジョン先生は良くおっしゃいます。
「きちんとしたテクニックを身に着けることができなければ、良い表現には結びつかない。
きちんとしたテクニックを身につければ、表現は一人ひとりの中に噴水のように自然に湧き上がってくる。」

さらにきっと兄は言います。
「どんなにきちんとしたテクニックを持っていてもそれを表現に結び付けることができなければ、その人を演奏家や芸術家とは言えない。
でもそんなことはあり得ない。
なぜなら、きちんとしたテクニックは表現上必要だからこそより高いものを求めようとして、生まれ、身についていくのだから・・・」

そう、ジョン先生の言うテクニックも兄の言うテクニックも、機械的な正確さを競うものとは全く違うのです。

お正月早々、とってもいいレッスンでした。