さっちゃんと９人家族

この日のミサはやたらと長かった。
というのも神父さまがおしゃべりだったから・・・

「障害を障害と思わないで、などと現実を飛び越した聖人のようなことを自分自身の課題になんてしなくてもいい。
しんどいことをどうか取り除いてください、と祈ることもいい。
でもそこに条件を付けたらあかん。
もしも、この苦しみを取り除いてくださるのなら私はあなたを信じましょう...、そういうのはだめです。
そんなふうに神さまを自分勝手に利用してはいけないです。

でもそんなあなたでも神さまは心に留めて見守ってくださるのですよ。」

神さまを利用するなんて・・・！！と聞いた瞬間は思いました。
がでもよく考えてみたら、神様へのお願いが聞き入れなかったと思ったときに、腹を立てたり、もう見放されたとすねたりすることは日常的にどこにでもあることです。

 それに不信心な者ならば、そこまで神様に掛ける気持ちもありません。本気でお願いすらしないでしょう。

この前のミニ真名の時も、生きる力が弱ってきたとき、この高度医療の中でそのままの死をどうやって見つけようか、ということが話題になりました。いったん人工心肺装置などをつけたら、それを外すことなど到底できるわけがない。

そうだとわかっていても、少しでも生き続けていてほしいと身近な者は切実に思うのではないか、自分もそうなると思う、と友人はお話ししてくださった。

もう選びがない状態の時こそ、強い神様への願いが生まれてくる。
願いはただの願いではなく絶望や強い悲しみとドッキングしている唯一の希望

そしてその答えもまた明確に現実のものとなる。
非常に厳しいものです。

この子羊会にお集まりの皆さん、ひょっとしたらそんな厳しい場面に1度と言わず出会われたご経験もおありなのではないでしょうか。

だからっこそやっぱり神父さんのおっしゃった条件付きのお願いのお話がより一層心深くに響かれたのでは、と思います。

確かに私たちが誰かに条件を付けるとき、それは私がその人を思い通りに動かすための工作に他ならない。つまりその人を信頼していない証拠。

信頼のない中でのお願いなんて、それはお願いでも何でもないですね。ただのわがままです。
でもただのわがままも時には許してもらわなくてはならないことがある。そのお許しこそが神様からの思いやりなのですね、神父さま！！

この日1時間近くも熱弁をふるわれた神父さまは車いすに乗ってごミサを立ててくださいました。

言葉もさることながら、彼の姿こそが皆さんの励ましになったことはでしょう。