さっちゃんと９人家族

  去年の秋ごろからW(11)
「なんかちょっと見えづらくなってきた。教室の後ろにいたら黒板の字がちゃんと見えへんね」

早く眼科に行かなくっちゃと思いながらも、あれこれしているうちにすっかりそのことを忘れてしまい、本人も見えないのが当たり前になってしまっていました。

今年になってから、ようやくそのことを思い出し、お医者さんのところに行きました。視力はドンと悪くなっていたけれども、しばらく目薬をさして様子を見ましょうということで、この3週間ほど目薬をさしていました。きっと目の筋肉の緊張をとる薬だったのだろうなぁと思います。

WはK（２０）のメガネ姿がなぜかカッコイイと思っていて、自分もあんな風になれるかなぁ、という期待でわくわくしていました。

早くメガネほしいなぁ～～

先週再び訪れた眼科では、目薬の効き目ないからメガネ作ろうね、と言ってもらってついに念願叶う。

バレエの帰りのもうお店が閉まるぞ～～　という時間帯にでもメガネ屋さんに駆け込んで、一目でいいからどんなメガネがあるのか見たかったのです。

「あぁ　お嬢さんのような方にはこちらのコーナーのものになります。子ども用で三サイズそろえていますから、もしお気に入の色のものでサイズが合わないようでしたら、お取り寄せいたしますので、遠慮なくお申し付けください。」

彼女の表情は浮かぬ顔。

「こちらのピンクなどはつけていてもあまり目立たないので、結構人気があるものですが、ちょっとお付けになりますか？」

つけた彼女は
「・・・」

実はあこがれのKのメガネフレームは金属ではなくプラスチックで、しっかりとメガネの存在感のあるものでした。

子ども用のものはどちらかというと形状記憶合金でできている金属フレームの方が頑丈なので、ニーズが高く種類が豊富にあるのです。

プラスチックのものは10種類ほどしかありません。

時間もなかったので、またゆっくりと見に来ます、とお伝えしてお店を出ました。

「Wちゃん、結構ピンクの似合ってかわいかったよ。でもやっぱり子ども用って種類が少ないね～」

「そう、そうなんやんか！なんであんなにたくさん大人用のものはあるのに、子どものは１テーブルだけなん？」

「そら、メガネのデザインに凝る子どもなんていないよ」
私は彼女の顔を見ながらあわてて付け加えました。
「そんなに多くは・・・。みんな色ぐらいなもので・・・」

「はぁ・・・」
これだから大人は子どものことが分かっていないんだ、と言わんばかりに彼女は大きなため息をつきました。

「お母さん、今度いつ空いてる？」
「う～～　木曜かな？」

「じゃ、木曜日にまた見に行こう」