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カテゴリ:出来事
もう一つは ある日、家にいたらピンポーンと玄関ベルが鳴ったので、何気なく扉を開けたのです。 そしたら路上生活をなさっているだろうと見受けられる60代ぐらいの女性が立っておられました。目はかなり濁っていて、きっとそんなに良くは見えておられないのではないか、と思いました。 「あの、少しお金を分けていただきたいのですが・・・。今日の食べ物のために、お願いします」 と頭を下げられた。その方が私よりもかなり年上の女性の方だということがまず私の心をとらえた。 私「あの、河原町三条の教会では炊き出ししていますよ。行ってみられたら?」 はい、これだけしか差し上げられないけれど・・・」 彼女は道の向こうで大声でないと私には聞こえないだろう、そうしたら近所のみんなに何事かと迷惑がられるに違いない。そんな向こうまで何十回と振り返っては私に「ありがとう」を繰り返された。 正直、今までの人生の中でこのときほど「ありがとう」という言葉を私に繰り返し語った人は彼女以外誰もない。 その後、私はそれが良いことだったのか悪いことだったのか、よくわからなかった。帰ってきた大きい子どもたちにそのことを語ったら、 「お母さん、気が良すぎ!きっとその人また来はるで。それにそのうわさに飛びついて、ほかの人もやってきはるかも?どうすんの」
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