さっちゃんと９人家族

　帰宅した利幸さんに訊いてみた。

「日本の発がん率て、先進各国と同じぐらいなの？」

それはこんなにストレスフルな日本だからきっとほかの先進国より高いのに違いないという予測からしたものです。

「うん、どこでもだいたい同じ。
もっともそれは国民何人当たりのガン死亡率のことやけどね（発病ではなく）。
でも病気死亡で多いのは心臓循環器系の病気、つまりはストレスと食生活が原因」

「あんなにゆったりした生活をしているカナダも、こんなにあぁだこうだと子どもの時から縛られている日本と同じとはものすごく意外？
ひょっとして人間てめちゃくちゃ強いのかなぁ。
あんまり環境に左右されないというか・・・。

じゃぁ、医療費は？」

「日本？ＧＮＰ（国民総生産）に対する医療関係費比率は格好悪いぐらい先進諸国の中で低いよ」

「え？あんなに健診、検査、投薬てお金使っているのに低いってどういうことなん？」

「いや、この医療費というのはそういう医療行為だけではなくて、施設、人件費様々な医療の現場で使われるサービス、環境、あらゆる費用を含めてのこと。
医療行為だけで考えたら、日本はすごく高い。
でもそのほかの部分をめちゃめちゃ削っている、たとえば典型的なことが人件費。
医師看護師、理学療法士、カウンセラー・・・様々な専門職の人々、総数も少ないし専門職も少ないし、もちろん一人当たりの手当ても少ない。
だから救急高度医療を実施する大学病院などの医師たちは使い捨てのぬれティッシュのように擦り切れて、若者はすぐに楽な方に流れるから居つかず教育ができず、大問題になっているわけ！！」

「なるほど、そういうことか？

じゃぁ、逆にいえば、そうした医療従事者たちの個人的な献身的な働きとか、健診検査、投薬のおかげで、日本の今の死亡率が他の先進諸国と同じレベルで保たれている、ということは言えるかもね」

「あ、それはそうでしょう。
用心深さとか、不安感が強いとか、そういう国民性もあるしね」

　そう、そういう国民性がやっぱりこの社会や作ってきたことは間違いない。

でもそういうことなら、やっぱりこのガチガチした毎日を緩やかにすることによって、医療行為だけに依存せずとも健康が維持できる生活を推進した方がよほど他にもメリットがあるでしょう・・・。

やっぱりちょっと毎日を変えてみませんか？