それでも子どもたちはあきらめませんでした。
平和を求める集会を開いたり、歌を作ったり、平和行進をしたり、ユニセフのところに協力を求めに行きました。
そして思ったのです。
多くの子どもたちの意見をまとめるためには、どんなことに一番困っているか、どうなることを希望しているのか、子どもたちに投票してもらったらいいのではないか?
彼らは何度もユニセフや政府に働きかけました。
そしてとうとう全国270万人の7~18歳までの子どもたちが1996年10月25日に投票をしたのです。
その日は町中、村中に子どもたちがあふれるという不思議な日になっただけではなく、全国どこにいても銃声が全く響かなかったという特別な日になったのでした。
子どもたちが用意した投票用紙には十二の項目が書かれていて、もっとも今希望する権利に丸をしてもらいました。
A 生きる権利
B 教育を受ける権利
C 家族の愛情や保護を受ける権利
D 健康にくらす権利
E 多様性が認められる権利
F 障害のある子どもは特別に守られる権利
G 不法に働かされない権利
H 自由に表現する権利
I 暴力や虐待、麻薬から守られる権利
J 子どもが最優先に考えられる権利
K 平和への権利
L 公正に扱われる権利
投票の結果分かったことは、やはり地域によってかなり希望が違うこと、その中でも
『生きる権利』という最も基本的なところに丸が付いているのが25%もあったということです。ほか
「平和の権利」20%
「家族の愛情や保護を受ける権利」11%
と続きました。
このこども平和運動とこども投票について中心的に活動していたファルリス(15)ともう一人の仲間がニューヨークに行き、国連で自分たちの活動について報告しました。
これらの活動はノーベル平和賞の候補にもなったそうです。
子供は本気になったら、できる、やります。
どうしてこんなことができたのか。
その必要を心の底から感じていたからではないでしょうか?
この活動は18歳以上になるとグループから卒業することになるそうです。
青年は、ここでの活動が自分の日常から無くなったことは本当に残念なことだった、と振り返っていました。