さっちゃんと９人家族

　我が家の場合、習いごとやデューティーが充満したとき、幸いなことに経済という条件が、
「無理です。もうこれではだめです。本当に必要なものを選びなさい」
と警告を発してくれました。

　また友人の一人は
「どうしてさっちゃんちはお母さんがVn弾くのにみんな音楽をあまりしていないの？』
と不思議に思われるみたいです。

これも空間、時間的条件がある意味不可能を宣言してくれました。
皆がVnを弾きVcを弾き、ピアノを弾いていくことは実際無理なのです。
だからそれぞれに今音楽を楽しむ道を見つけています。

　そんなお陰で子どもたちは次々に必要だと思えていたものを潔くほかし、本物だけを残していったのです。
その結果が現在の彼らの姿です。

大人になった時に付いた肩書きや職業は決して世間で自慢できるようなものではないし、社会的にステータスのあるものでもないけれども、それでもそれぞれに自分の仕事を誇りに思っているように私には見えます。

長男Aは

「条件の良し悪しで仕事を決める？
そんなことはとても僕にはできない。
自分が向かいたいものに向かっているだけで僕は十分幸せだ」

と言います。

長女Hも

「友人たちに私の給料のことを話すと、
『はぁ～～、何なのそれ～～。さっさとやめた方がいいよ！』
と言われるけれど、それなりにここじゃないと勉強できないこともたくさんあるんやんかなぁ～、あんまりそういうことは友人たちは分かってくれない」

と語ります。

　今や彼らは自分自身に必要なものを自らが園芸家となって自分に注ぎ、そしてお客さんたちや上司、ときには自らが彫刻家となって、ばっさり自分の作品を切り捨ててはまた作っていく。

そこには常に自らの必要を見つけていくセンスが不可欠なんだなぁと思います。

ええ、彫刻家にも園芸家にも必要なものは、そこに必要なものは何か、を見出す目なんですね