さっちゃんと９人家族

　　Ｍ　怖がらないで。大丈夫だから・・・私ができたこと、必ずあなたもできる！！

　　Ｍ　息吐いて　ふ～～っ！！　ふ～～っ！！　

　　　　　力を抜いて　ふ～～っ！！　ふ～～っ！！

　Ｍが陣痛の大波にさらされているとき　私は思った
　こんなとき私はどうしていたんだろう。私は一度だって陣痛の時に家族がいてくれた時はなかった。
　その場でさすってくれて一緒に息してくれたのは、死産だったポッポちゃんの時の助産師さんだけ。

　いつも一人ぼっちだったけれど、ポッポの経験以来、しっかりとした陣痛は痛く辛いものではなく、私に幸せを運んでくれる大切なお知らせのようなものになっていた。

だから陣痛が遠のいてしまうのが一番の落胆であり、痛みがやってくるとよしよし！！と満足していたのです。

でも今回私は正直に思う。陣痛は当事者の方がいい（楽）！！
傍にいるものにとってはＫ君が言っているように、いかにも耐えがたい繰り返されるいばらの道にしか映らない。

Ｍのような状態になったら、病院の動きはもどかしい
　服を着替えてモニターをつけて、分娩台に乗って点滴つけて、足を良い位置にセッティングして・・・　実際にいきむまでのプロセスがありすぎ・・・
（もっともこれはＭが初めての出産なので、経験上助産師さんもドクターももっと時間がかかる、と思っておられたから分娩台に行くのが遅かっただけのことです）

・・・

　「じゃぁ　ご主人とお母さんは受付で待っていてください」

　あぁ～～　大学病院はこれだから・・・　

　Ｋ君は憮然として私に言った「ここまできているのに、なんで赤ちゃん誕生の瞬間に立ち会わせてくれないでしょう！！どんな理由があるんでしょう」

　本当にね。様々なケースを想定してのルールだろうけれど、そのために失うものも決して少なくない。

　　
でも私たちは入れないけれど、とっておきの人物がいる。

「Ｔｏさんはいいですよね。」と私は助産師さんに念を押す。
「ええ　医療スタッフとして入っていただきます」

よし！

　ちょうど私たちが受付に行ってすぐにＴｏさんも到着　分娩室のＭのそばに行ったら
　ものの３回のいきみでＭは男の子を誕生させた。Ｔｏさんもぎりぎりセーフ！！

　お見事！！良くやりました！！

　３６週なので早産、でも２５００ｇ以上あるし元気はいい、とＴｏさん。

　二人ともおめでとう！！良くやりました。