さっちゃんと９人家族

　　公演を終えてのセレモニーの中で一人のソリストの方がおっしゃいました。

「この前の時（1年半前の「愛の妙薬」）の公演でもそうだったけれど、このオケは前日練習から当日ゲネプロ、そして本番と進むに従ってすごく良くなって行く、その伸び代にびっくりさせられます」

　いっしょにVnを弾いてくれた友人もおっしゃいます。

「僕、なんかこの頃本番が一番弾きやすい～」

　この二つの言葉をしばらく心に留めているうちに私はこんなことに気がつきました。

私はこのOBオケをどなたかに紹介するとき、謙遜ではなく「上手なオケとは言えないオケですが・・・」と表現します。
それは実際のところ、ソロでバリバリ楽器の演奏ができる人はほとんどいないし、音程を合わせる、とか音質を変える、という基本的な演奏技術もまだまだだ、と思っているからです。

　けれども本番当日のように、この会場とこの共演者の方々、という風にすべてのものが揃ったとき、そこで目指したいもの、作り出したい音楽を感じ取る力が強く、それを作り上げるために最大の努力と工夫を本番中にすることができる、そういうオケ（人の集まり）なんだ

ということです。
それは合わせよう、という誰かに寄りかかる姿勢で生まれてくるものではありません。

当日のリハから本番への飛躍は、たぶん高い感受性の中からさらに共通のものが無意識の中で育てられてきている表れだろうと思います。

また本番ならではの集中力から生まれてくる「一つになろう」とする結集力が個人の力量を超えたものを生み出させてくれるのでしょう。

　さて、この日舞台に直接かかわってくださった方、コーラス、ソリスト、オケメンバー総勢およそ１４０名が目指したものは・・・

　オペレッタ「こうもり」という音楽の懐に抱かれたい

だったのだと思います。この意志がすべての困難を飛び越えさせてくれるのですね。

ありがとう「こうもり」！！