Life is beautiful

ロシア外交、北方領土をめぐるスキャンダルとして政官界を震撼させた「鈴木宗男事件」。その“断罪”の背後では、国家の大規模な路線転換が絶対矛盾を抱えながら進んでいた―。外務省きっての情報のプロとして対ロ交渉の最前線を支えていた著者が、逮捕後の検察との息詰まる応酬を再現して「国策捜査」の真相を明かす。（Amazon；「BOOK」データベースより）

久々に読み応えある本に出会った。
読書の秋、秋の夜長に心の趣くままに手に取る本というよりも、頭を使いながら、記憶を辿りながら、真剣勝負で読まないといけないような本。
この本のために、他の楽しみも削るような日々・・・。
それくらい、すごい本。

何となく、国後島ディーゼル発電機供与事業事件の真相を知りたくて、手にとってみたけれど、国策捜査というものの実態を知り、他の鈴木宗男にからむ数々の事件の構図も見えてきた。
その断罪の背後にあるのは国家の陰謀か？
もちろん、著者の言い分通りに全てを受け取るわけにはいかないけれど、豊富な事実に基づいている点は評価すべき、そして、私が今まで思っていた鈴木宗男事件を覆えされた気がする。

「これは国策捜査なんだから。あなたが捕まった理由は簡単。あなたと鈴木宗男をつなげる事件を作るため。
国策捜査は『時代のけじめ』をつけるために必要なんです。時代を転換するために、何か象徴的な事件を作り出して、それを断罪するのです。」という検察庁特別捜査部検事の言葉に全ては集約されているよう。

色々な見解があると思うけれど、こちらの書評、上手く表していると思う。
この時代のけじめが、その後の政界にどう生かされているのか、続編も期待したいところ。