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カテゴリ:エッセイ 後書き お知らせ
創作オイリュトミー公演『火の風の夢』 2007年11月10&11日 @沙羅舎(三鷹市) 黄道12宮と惑星の動きのオイリュトミー「星の舞」から今回の舞台公演は始まりました。 背景は全面白い和紙、向って右側に囃子方の座がしつらえられています。 舞台フロアはローマ時代のコロセウムのように劇場の底辺となっているので、演者との距離感は感じにくいはずなのですが、 あたかも透明な次元の壁が立ち上がり、 私たちと舞台の間に過去とも未来ともうかがい知れない遥かな時空が横たわっているような錯覚を覚えます。 “夜の空に響き満ちたり星々は静寂の声交わしておりぬ” 開幕の時、すべての動きの始まりの時、秦理絵さんの凛とした声が響きます。 この歌は『無数の銀河』、「扉の向こう」の章に収められているものです。 満席の上に満席の、満員御礼状態のなか、客席は静まり返っています。 夜の星の静寂の声がかすかに、そして確かに聞こえてくるようなオイリュトミーの動きを、舞台に出現した銀漢の靄を通し私は慄きつつ観ていました。 * さて次なるは「ひふみの祝詞」。ここではたしか私たち日本人にはおなじみの「大祓の祝詞」も奏上されていたように思います。 朗誦は『無数の銀河』の装丁を快く引き受けてくださったデザイナーで音楽家の宇々地さん。 * そしてさまざまな踊り手が登場する「地水火風空の動き」。 彼女はここで「火」をオイリュトミーで動いています。装束は全身赤です。燃え上がる精神の、その活発で厳かなありようが目に見える形となって現れています。 また地水火風空のさまざまなダンスヴァリエーションがとても楽しく、それぞれのダンサーが独特の世界を展開してくれます。 * 「昔話『若返りの水』」が次に続き、最後は「こきりこ円舞」で大団円です。 “いにしえの森にこきりこのうた響き舞う果てしなくデデレコデンと” こきりこの懐かしいメロディーが体に心地よく、理絵さんの笑顔とともに幸せな浄福感が会場全体に広がってゆきました。 * 今回の楽の音は、古代土笛 祝詞奏上 篠笛 太鼓 波紋音 そして『無数の銀河』より歌。 * * * まるで神様との密約のようなまったく新しい何かが起きているという予感は、前回の公演『アマテラス』のときにすでに感じていたのですが、大変ユニークな、日本初世界最先端のオイリュトミー公演ではないかと真実思いました。それですのに舞人も楽人もリラックスされていて、この舞台を創り上げることを心から喜んでいる様子がひしひしと感じられます。 古の神々の祝詞がこの舞台の根底に通奏低音のように織り込まれているのですが、私が体験しましたのはたいへん柔軟で新しい、まさしく「新しい“神楽”の誕生」でした。いままでだれも観たことのなかった新しい宇宙がここに出現したことを遅ればせながらご報告させていただきます。 * * * なお下記は先月行われたオイリュトミーの公演に際しての秦理絵(子)さんの献辞です。 ~6年前の冬、安曇野のペンション・シャロムヒュッテで一人の人と出会った。画家であり僧でもあったその方、上野玄春さんは私に「ひふみの祝詞」を教えてくださった。 「この言葉をオイリュトミーで動けませんか?」それがきっかけとなり、その後シャロムに新しいカフェが建てられたお祝いの席で、玄春さんの朗唱にあわせて「ひふみ」を舞った。・・・そして久しぶりにシャロムを訪れた2年前の秋、玄春さんが病を得てなくなられ、ちょうどその日に一周忌の集いが持たれたことを知ったのだった。その集いの席での新たな出会いが、わたしを紗羅舎と結びつけ、つぎつぎにあたらしい人たちと出会わせてくれた。 この公演は、そんな人たちとのつながりに恵まれて実現しました。共演のみなさん、舞台をつくってくださったみなさん、そしてこのような場を提供してくださる紗羅舎の方たち、ありがとうございます。ご来場くださったみなさまへの心からの感謝とともに。~ “われも人も天より落ちてきたしずく 一粒ずつの波紋ひろげて”(小社刊 秦理絵著『無数の銀河』より) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/12/21 08:39:42 PM
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