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番組構成師 [ izumatsu ] の部屋

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2007.08.13
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カテゴリ:身近な出来事

きょうからお盆らしい。帰省する友人たちもちらほら。

この「お盆」というのが、どうもわからなくて…。「ご先祖様がこの世に戻ってこられる日」だとか、「お墓の掃除をして手を合わせる日」だとか。

ぼくは生まれてこの方、お盆の墓参りというものをしたことがない。と言うより何より、ご先祖様のお墓がどこにあるのかということ自体、知らない。第一、おじいさん&おばあさんの代までしか先祖をたどれない。その先は「?」の、未知の世界だ。

おじいさん&おばあさんというのはお袋の両親。だけど、ぼくが生まれたときは既にふたりとも彼岸の住人となっていたので、実際にその存在を意識したことはまるでない。この、お袋にとっては父と母、ぼくにとっては祖父と祖母が、今、どこに眠っているのか?

知らないんだなぁ。

以前、こんな話を知人にしたら「先祖をまつらないとは、罰当たりヤツ」と叱られた。

それはちょっと違うんだなぁ。

ぼくは拝むための対象なんて必要ないと思ってる。墓石や遺影の前に座って手を合わせなくても、心に思い描けばそれで十分だと思ってる。お盆なんて日を限ってその間だけご先祖様へ顔を向けるより、ふと思い出し、その人へ思いを巡らせることの方がよほど供養になると思ってる。

言い訳のように聞こえるけど、昔からそう思ってる。

墓や仏壇の前で手を合わせるのは、子どもの教育のためには必要かもしれない。昔の人がいて、だからこそ自分がここにいるという連綿とした命を実感できるだろうし、一族揃って墓の掃除をすれば絆も強くなるだろう。

でも、墓や仏壇がなくたって先人への思いは馳せられる。お袋は彼女の両親が眠る墓にぼくを連れて行くかわりに、生きていたころの両親の話をよくしてくれていた。ぼくにとってはそれでさえもう十二分で、右の耳から聞いては左の耳から出していたので、どんな祖父祖母だったのか、実は頭の中にはあまり残っていないのだけど。

やっぱ、バチ当たりかな。

お袋は今の家に越してきた30年ほど前、近くの小高い丘の上にある霊園に自分の墓を買い、「ここに私は入るの。眺めが良くていいでしょ」とご満悦だった。

その墓石には「○○家」ではなく「倶会一処」と彫られている。

ぼくはこの言葉が結構好きだ。浄土真宗の言葉らしいけど、ぼくの家が何宗なのか、ぼくは知らない。

あ、「何宗」で思い出した!
話はまったくそれるけど、高校時代の同級生の女の子の天然ボケエピソードをひとつ。





その女の子は学生時代(だったと思う)にお父さん(だったと思う)を亡くした。葬儀屋さんがやってきて、「このたびはご愁傷様です。で、おたくは何宗でしょう?」と聞いたそうな。

女の子は悲しみにくれつつひと言、「北九州です」と答えたそうな。葬儀屋さんは場面が場面だけに二の句が継げず、女の子は「お葬式なのにどうして住所を聞くのかなぁ。おかしいなぁ」と思ったそうな。

「なに・しゅう?」→「きたきゅう・しゅう」……。

真似の出来ないあまりの天然さ。ボケようと思っていたら、こうはいかないなぁ。

数年前に会ったとき、彼女は地元の小学校の教頭先生をしていた。
先生! 子どもたちに宗教の常識程度は教えてあげてくださいね。





話を元に戻そう。「倶会一処(くえいっしょ)」という言葉が好きって話。

本来の意味は「極楽浄土に往生したものは、皆、ひとつの所で会うことができる」という意味で、先祖と同じ浄土へと成仏したい願いがこもった言葉だそうだ。

でも、ぼくの勝手な解釈は違う。この世ではどんな人生であったか、どんな身分であったかは関係なく、男だったり、女だったりってことも関係なく、血がつながっていようがいまいが、そんなことだって関係なく、みんな仲良くあの世に行って、みんな元気に再会しましょ、というのがぼくの解釈。

だから、この墓には誰が入ったっていい。血縁なんかどうでもいい。気が合う人なら誰でもOK。人だけじゃなく、ネコ助でもぼくはOKなのだけど、それは周りの墓の縁者がイヤがるだろうな。


お袋が入手した墓には、まだ誰も入っていない。世の理のままに推移すれば、まずはお袋が入ることになる。いつの間にか知人に陶器の骨壺を焼いてもらい、その出来映えに悦に入っていた彼女が初代の住人となっても、お盆にぼくが墓石の前にひざまずくことはないだろう。

少なくとも、面影を心に描くことができるうちは。


想えば、誰しもそこにいる。
そんなことだと思うんだけどな。







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Last updated  2007.08.13 21:29:29
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