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12月29日木曜日。
朝9時、介護タクシーに来てもらう。 電話でのぼくの頼み方がまずかったのか、介護タクシーは車椅子を積んできてなかった。でも、ドライバーさんが、これから向かう医師会病院へ車椅子を取りに行ってくれた。 家に車椅子が入るのは初めてだ。 ドライバーさんは手慣れたもので、母をベッドから抱き上げて車椅子に乗せてくれる。心配だった玄関の上がりかまちの段差も車椅子を後ろ向きにして、大きな車輪を利用して簡単に降りた。そして、車椅子のままタクシーへ。 母が自分で歩けるときにさえ、車に乗せるまでかなりの時間がかかったのに。 助かった。 タクシーに乗ってしまえば、医師会病院まではものの3分。 内科で診療。 まずは検尿。だけど、自分で採取することが出来ないので、チューブを挿入して採ることに。検査室の奧から、母の叫び声が聞こえる。 同時に、なだめすかす看護師さんたちの声も。 かわいそうだし、申しわけなくも感じる。 血液検査、胸のレントゲン、内臓のCTスキャンと検査が続いた。そして、レントゲンとCTスキャンの写真が並べられた診察室で医師から説明を受ける。 「胸には小さな炎症がありますが、高熱が続くようなモノではないですね。内臓にも顕著な所見は見られません。しかし血液検査には炎症反応がしっかり出ているので、原因が分かるまで患者さんを預からせてください」 で、そのまま入院。 母の様子を見、ぼくの話を聞いて、「そのまま入院になるかもしれませんねぇ」と言った介護タクシーの運転手さんの言葉が現実となった。 母を病院に残し、いったん家に戻る。そして、入院に必要な身の回りの品々にマジックで母の名前を書き、大きめのバッグに詰めて、病院へUターン。すると、母の入った病室には「面会謝絶」の札が。 ギョッとしたけど、入院当初の患者は、看護師さんの目が常時届くこの部屋に入ると聞いてホッとする。 電動ベッドで半身起こしてもらっている母は、手の甲に刺さった点滴のチューブを、 「これは、なに?」 と言いながら、物珍しそうに見ていた。早くも抗生物質の投与が始まった。とにかく、まず熱を下げようということらしい。 男性の看護師さんがやってきて、嚥下のチェック。ゼリー状のモノ(ブドウの味がついているそう)を飲み込ませつつ、指先にはさんだ測定器で酸素量を見る。嚥下と酸素量とどういう関係があるのかは「?」だけれど、「結構いい数値ですね」とのこと。 別につらそうな感じもない母は、元気にゼリーを飲み込む。そして、指先に取り付けた酸素測定器をはずそうとする。チェックのためだからと言ってもダメ。でも、看護師さんは、 「もうちょっとがまんしましょうね」 と優しく声をかけながら、辛抱強く数値を計り続けた。 午後2時過ぎ、病棟の担当医から説明を受ける。まだ若い、男の先生だ。 診察室で見た胸のレントゲンとCTスキャンの映像を再度参照しながら、より詳しく説明してくれたが、要約すれば「今のところ、発熱と体の傾斜の原因は分からない」とのこと。 「体が傾いたり、急に歩けなくなったのは、高い熱のせいかもしれないし、脳に原因があるかもしれません。脳のMRIも撮りますが、年内の診療は今日まで。検査技師はもう休みに入っているので、本格的なチェックは年が明けた4日からですね」 年内ギリギリ、間に合って良かった。 家に引き上げる前、母の様子を覗く。 点滴を受けながら、おとなしくベッドに横になっている。辛そうな様子はないし、不安げなところも見られない。 年末年始をここで迎えるんだなぁ、松が開けたら退院出来るかな・・・なんて考えながら病室をあとにした。 それから4か月。母は自分の部屋に戻らないままだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.04.29 21:02:55
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