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母は、医師会病院のパジャマのまま救急病院に運ばれ、そのまま入院した。救急車で運ばれる前、身の回りのものをまとめていると、看護師長が、
「こんな時になんですが、落ちつかれたらパジャマをご返却ください」 と言った。 入院した翌日の午後、借りていたパジャマの返却を兼ねて医師会病院へ挨拶に行く。 「まだ目は覚めていませんが、容態は落ちついてきたみたいです」 看護師長は残念そうに、気の毒そうに、ぼくの話を聞いてくれていた。 若い担当医にも報告。 「先生のお見たての通り、脳の中央部分の出血でした。出血した部位からみて、手術はできないし、回復は難しいかもしれないとのことです」 ぼくの言葉を聞いた若い担当医は、 「肺炎は治ってきていたのに、残念です。お力になれずに申しわけありません」 そう言って頭を下げてくれた。 自宅に戻りながら、ふと思った。 高い熱が10日間以上続き、軽い誤嚥性肺炎と診断され、入院。その治療中に脳卒中で倒れた。 夕食後、看護師や介護士の歓談に混じっているとき、急に血圧が上がり、ゆっくりと意識が薄れていった。 病院側が、治療中の患者である母のそんな変調に気づかなかったのは、医療過誤になるのかな? ちらりと思った。 患部に既に動脈瘤があり、血圧の上昇がきっかけでそれが破裂した可能性がある。救急病院の担当医はMRIの画像を見ながらそう説明した。 脳のMRIは、最初に入院した病院でも撮っていたはず。そこで異変を発見出来なかったのは、医療過誤になるのかな? ちらりと思った。 でも、その思いは頭をかすめただけで、ぼくの考えの中心には降りてこなかった。 運命なのかな。 その思いが、ぼくの頭の中を占めていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.05.14 19:28:22
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