今週の読書 「羊の国のイリヤ」福澤徹三
「サラリーマンだった頃は世間体ばかり気にして、自分の性格や行動に疑いを持たなかった。ただ歳をとったにすぎないのに、それなりに分別がついたつもりでいた。自分で作り出した固定観念にとらわれて、みずからの可能性に気づかなかった。」上記は最も心にずしりと響いた文中の1節。「羊の国のイリヤ」というタイトルからは想像もつかないドラマが待っていた。途中、グロテスク過ぎて読むのをためらったが、読まずにいられないくらい引き込まれて。裏社会で起きている理不尽なことを題材に書かれた長編小説。しがないサラリーマンが大変貌をとげる。「侠飯1~6巻」を読んですっかり虜になったあの福澤徹三さんがお書きになられているんです。様々な文献を参考にされて書かれていて専門用語が飛び交います。読みだしたら途中では止められない独特の世界感が魅了します。