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島流れ者 - 悪意なき本音

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2004.10.12
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カテゴリ:休日の過ごし方
前回の日記の続きになってます。読んでない人は、そこからはどうぞ。

****

海岸沿いの町サンタクルーズからどんどん離れて今度は内陸のコーニングにやってきた。ジャックのお父さんの住む町だ。(村といったほうが正しい。)このあたりではほとんどの家庭が大きな敷地に農場を経営していて、彼のところも同じく犬、猫はもちろん、牛、馬、豚、羊、ヤギ、ラマ(日本語ではなんと言うか?)鶏、と、ありとあらゆる家畜を飼育している。

私たちが行ったときには何匹かいる犬の中で一番高級そうな犬(なんという種類か忘れたが、毛が短くてとてもすらっとしているエレガントな犬)が子を産んだところで、6匹の可愛い子犬がじゃれていた。このすべての家畜とペットを全部あわせると、60~70は、いるんではないかと思われるが、その世話を千部一手に引き受けているのはジャックの父さんの奥さんだ。彼女はとてもエキセントリックなタイプで、常に忙しそうに働いている。過去に一度ほどこれまた今回のようなオレゴン行きの途中で彼らのところでお世話になったが、私たちお客さんがいるというのに手を止めてゆっくり話そうとすることない。獣医のアシスタントのパートタイムの仕事を終えて帰宅すると毎晩、山ほどの家畜の世話が待っている。この時もキッチンに入ってくるなり、その勢いを止めることなく、忙しくばたばたと動き回る姿はまるで私たちがいるのは邪魔だといっているようにも取れるのだった。食事の支度をしながら、久しぶりに会う息子との会話をゆっくりと楽しんでいるジャックの父さんに向かって、なんだかんだとどやしているのは、見ていてとても居心地が悪かった。

翌日、そこからさらに7時間掛けて最終目的地、ジャックのジイちゃんの住むオレゴンの小さな海外沿いの町、ウォールドポートにやってきた。三年ぶりにあったジイちゃんは見た目こそは年相応であるが、気力の面ではとても89歳と思えないほどはつらつとしている。彼は自分ひとりでモービルハウスと、小さなトレーラーのある家に住み、自分でドライブもするし、週に2日は近所の波止場に置いてある自分のボートで蟹取りを楽しむ。また自分の庭にはトマト、たまねぎ、カブ、瓜などの家庭栽培もして、この世代のアメリカ人にしては珍しく、とっても健康的な食生活を送っている。ここに三年で健康面での問題がぐっと増えたが、それまでは、なんとオレゴンからメキシコまでのロードトリーップを自分ひとりで運転するという快挙を成し遂げたスーパー・ジイちゃんだ。

私たちの泊まっていたトレーラーは、三日ほど前までいたジャックの従兄弟が掃除してくれて、前回のようなかび臭さがすっかり消えて狭くても結構居心地のよい宿泊施設となっていた。たっぷりと旅の疲れを癒した翌日には、早速じいちゃんと蟹取りに出かける。彼の住む町はリタイヤした中年、老年が多く、とてものんびりした町。波止場に出かけるとあちこちからジイちゃんに声が掛かる。ジャックと私たちはじいちゃんの指示に従って道具をボートに積み、ボートを出すのにてこずっていると、どこからともなくやってきた男性がさっと手伝ってくれた。そこでじいちゃん、“この町が好きだ。ここでわしは、王様のように暮らしているのさ。ほら、こうやっていろんな人がわしのことを面倒見てくれるんだよ。”ん~、さすが。

蟹取りルックになったジャックは網取りの棒を片手に20代の全般に、アラスカでサーモンを取っていた、産業漁業氏だったころの姿に戻って勇ましく、ボートの先端に立つ。曇り空で満潮のちょっと前の午前11時というぴったりのタイミングのおかげでたったの一時間もしないうちに25匹のかにが取れた。沖に戻って取れた蟹をジイちゃんの言われるとおりに波止場で働く馴染みのジムに渡すと、ジイちゃん、“後は彼が蟹を茹でて、洗ってくれて、俺たちが夕食で楽しむためにぜーんぶやってくれるんだよ。この波止場はわしのものじゃ。はっはっは!”

ジイちゃんはとにかく話し好きで、いろんな話をする。内容は自分の武勇伝から、結婚する間際にほかの女と寝ていた話や、ジャックの父さんと離婚した母さんが他人となったはずのじいちゃんから養育費にとせびった金を皺取りの整形手術に使った話など、通常ならば孫に聞かせるような話ではないことまでもおおっぴらにするのが彼流語りで結構エンターテインメントである。でも、四日も滞在するうちに、片時でも口を閉じないじいちゃんにさすがに参って夜はトレーラーに行って一人で本を読む私であった。

ジイちゃんの家は何しろ田舎なのでいろんな野生動物が出る。その中には、アライグマ、鹿、熊なんかも出るという。そんなことをジイちゃんが話しているのを聞いて私を脅かそうとしているんだとってっきり思っていた。が、それは本当だった。ある夜、トレーラーになんかが当たっている音がして目が覚めた。アライグマがやってきて、ゴミ箱をあさっているんだろうと、眠りに就こうとするが、その音はやけに大きい。ジャックもその直後に目が覚めて、二人でそーっと小さな窓のカーテンを開けてのぞくと、すぐそこにはなんと黒熊がいるではないか!生まれてこの方動物園以外で熊を見たことのない私は、心臓が泊まるかと思うほどのショックを受けた。まさか、あのジイちゃんの話が本当だったとは!

私たちが息を殺してみている中で、その熊はうろうろトレーラーの周りをぐるぐると回る。毎晩こうして遊びに来られたら、たまったもんじゃないといってジャックは止める私を無視してガンガンとトレーラーの壁をたたいて脅かすと、熊はその数秒後に何処かに消えていった。

その翌晩、おしゃべりジイちゃんから逃れるためにトレーラーで静かに本を読んでいると、突然小さな窓から何かが荒々しく息をしているのが聞こえる。その直後に、“ドンドンドン”とトレーラーを叩く音。え~!またしても熊が現れた!すばやく半開きになっていた戸を閉めながら、過去にテレビで見た、熊が食べ物ほしさに発狂して車をめちゃくちゃにしている姿が、鮮やかにまでも脳内のスクリーンに映し出される。そして、その映像は、今外にいる熊がおんぼろトレーラーをぶち破って私に襲い掛かってくるものに変わった。“じゃあああああっくうううう~~~!”

なきそうになっている私がもう一度叫ぼうとすると、“ぐわっはっはっは~~~!”と外から大きなジャックの笑い声。“ひっかかた、やーいやーい!”
おのれ~~~、何がひっかかったじゃ。本当に熊に殺されると思ったんだぞ!おしっこちびりそうなまでに恐怖におののかせやがって~~!! その夜は奴がぐったりとなるまで、全身マッサージを45分のお仕置きで頭を冷やさせてもらった。

今回の旅行の目玉の一つに、ジャックが私と結婚する前に行ったすし屋を訪ねることだった。(左のコラムの、‘とあるオレゴンのすし屋の大将’参照)以前のオレゴンツアーで行ったときと同じようにやっぱり、この大将忙しい店でたった一人で黙々とすしを握っていた。カウンターに座ってしばらくすると私とジャックのことを思い出したようで、ぽつぽつと話し始めた。三番目一番下のの子供が去年で大学を卒業し、彼の父親としての役目を果たしたので、今度は本格的に引退する用意をしているようで、すでに地元新聞に店を売りだす広告を載せているという。しかしまったく反応がないようで、私とジャックに、この店買わない?と冗談とも本気ともつかぬように誘っていた。店を開いて15年、初めの3年はまったく客が寄り付かずに苦労したが、5年目ほどから人が待つほどの繁盛ぶりになったが嬉しい限りだが、もう一人で切り盛りをするのは疲れたという。人を雇わないのは何らかのポリシーがあるのかと聞くと、実は以前に一から手取り足取り育てた若造がいて、一人前になって第二号店を任せたるまでになった、その彼が、あるときウェイトレスと喧嘩したという理由でやめたと思ったら、すぐ隣にある街で、自分の店を開いたのだそうだ。それはいいんだが、対象の考え出したレシピやオリジナルのメニューなどをそっくりそのまま名前も変えずに彼の店で出しているのを知って、この裏切り行為に怒りまくったという。

そのあともう一人教え込んだ若いすし職人にも、いやな思いをさせられたので、もう二度すし職人を雇わないと心に誓って以来、せっかくの二号店まで閉めてしまって、80席ほどあるレストランで一人、黙々とすしを握るのであった。リタイアしたいがなかなかそのチャンスがなく、仕方なく老体に鞭を打って働く彼の話を聞きながら、何とかして彼を楽にさせてあげたいという、他人事ながらも、おっ節介な気持ちがむくむくと私の心に育ってきて、つい、“カリフォルニアではたくさんのすし職人がいて、自分で店を開きたくても、州内では競争が激しいし、ビジネスを始めるには莫大な金額が掛かると機会を逃している人が結構いると思いますよ。日本人の読むようなロサンジェルスを中心にした雑誌などに掲載してみたらどうですか?今度そういった雑誌を見たら、お知らせしますよ。それと、名刺をいただければ、そういった人にあったときにこの店の事話して渡してあげますよ。”と言ってしまった。すると大将の顔はぱっと明るくなって、“そうかい?それじゃ、これが僕のメールのアドレスだから。”と名刺の裏に書いた後、ごっそりと名刺を渡すのだった。

その夜は楽しくいい気分で店を出て、車に乗り込んだが、分厚く膨らんだ名刺が入ったジーンズのポケットを触りながら、“は~~、当てもないくせに、何であんなこと言っちゃったんだろう。彼きっと期待しているだろうな...”とお調子者の自分に後悔するのだった。

***続く***

皆さん、オレゴンの海岸沿いで、すし屋を経営したい人はいますか、またはそういった人を知っていますか??また、日本人の読む雑誌で、発行部数の多いのを知っている人がいたら教えてください!このすし屋の大将を楽にさせてあげましょう。(笑)





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最終更新日  2004.10.12 13:30:22
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