新聞配れば?
さて、「世も末だ!」と「近頃の若い者は・・・」は、古今東西の人類によって何千年前からの繰りかえされた戯言で、世も末と言われつつ、その近頃の若い者が歴史を進めてきたのが、動かしがたい真実です。 しかし、先の茨城県の事件や、岡山県でホームの前列に並んでいた人を、「誰でも良かった」「刑務所に行きたかった」などととして、突き落として殺すような若者のニュースを聞くと、世も末だし、近頃の若い者は、と思えてしまいます。 岡山の犯人である若者は、家庭の経済事情で大学進学をあきらめ、2、3年仕事をして学費を貯めて進学しようと考え、ハローワークに行き、郵便配達の面接を受けたものの、その収入の少なさに絶望していたとの報道がなされていました。何と殊勝な心がけではないですか!もしこの報道が本当なら、近くに「新聞でも配れば?」と一言アドバイス出来る大人がいなかった不幸を嘆かずにいられません。もし、その一言さえあれば、彼は罪を起こさず、理不尽に殺される人も無く、家族の死で苦しむ人たちも出なかったように思います。 近頃の若い者は・・・、新聞奨学生も知らないとしたら、これは紹介しておかなければならないでしょう。 もちろん、新聞奨学生などやらずに済めばその方が良いでしょうし、もし女の子なら私は薦めません(朝暗いうちに一人でうろうろするのは、安全とは言えないから。ただ、出来ないことではなく、実行された方も多い)。男ならそうした苦労をしても損はないかもしれません。販売店により処遇はいろいろで(給料は規定があり一定のはずだが住環境は一定とは言えない)、中にはとんでもない所もあるかもしれませんが、そうした場合は遠慮なく事務局に訴えて、別の販売所に移れば良いでしょう。とにかくも住む所は用意され、予備校や大学の学費は払ってもらえるし、倹約すれば貯金も出来ます。今なら、夕刊の配達がないという選択肢もありますから、キャンパスライフにさほど支障も出ないはずです(私は浪人時代に一年間体験しただけ)。 ところで、今はどのくらいもらえるのでしょう?※以下首都圏の場合・広告が多く分厚くなる読売新聞(その代わり配達距離は総じて短い) 読売育英奨学会 http://www.yc1.jp/yomisho/ 月給13万5,700円 奨学金年120万円まで免除(他に賞与あり)・広告が多く分厚くなる朝日新聞(その代わり配達距離は総じて短い) 朝日奨学会 http://www.a-kumiai.or.jp/as/ 月給13万7,200円 奨学金年90万円支給(他に賞与あり)・広告の量はほどほどの毎日新聞(育英会が運営する予備校がある) 毎日育英会 http://www.mainichi-ikueikai.com/ 月給13万6,000円 奨学金年80万円まで免除(他に賞与あり) ・夕刊がなく広告が少ないので薄い産経新聞(その代わり配達距離は総じて長い) 産経新聞奨学会 http://www.sankei.co.jp/pr/ikuei/ 月給9万1,400円 奨学金年72万円支給(他に賞与あり) 以上は大まかな数字で、詳細はいろいろなオプションがあります。とりあえず昔より給料が良くなっているものの、食事は外食が基本となっており、販売店で食べる場合はその分給料から天引きされるようです(昔は朝晩の賄い付きが基本)。 実は個人的に新聞の宅配制度などやめた方が良いと考えていて、いかにナベツネ氏が反対しても、時代の趨勢としてなくなる運命にあると思っています(いろいろな資源の無駄になるから。当然ペーパーレス化は避けられず、配達でバイクを使うくせに電気化しようともしません。新聞社は部数ばかり気にするくせに、拡張員はヤクザまがいが多いです)。しかし、今のところは、やはり経済的に困難なら、「新聞配れば?」は有効と言えそうです。 例えば、「私学の雄」であらせられ、都の西北に鎮座まします早稲田大学。あの伝統的なバンカラ大学のイメージとは裏腹に、文系の学費が少々お高い学校を目指す場合はどうなるでしょう。 とりあえず、入学金とか初年度納付金などという、これまたどのように考えても理不尽な悪習により、入学の際に30万円ほどのまとまったお金が必要となります。なぜ入学するのにそれほど金を払わねばならないのか、そんなものに胡坐をかいているから、能無しでも卒業させて無理やり空きを作り、結果大卒馬鹿を増やすだけになったと、どさくさに紛れて糾弾してやりたいですが(教授に単位を出すように圧力をかける)、それ以上に、「新入生一人に必要な経費を明示してもらおうじゃねえか、え!」と、教育者のふりをした経営者どもをつるし上げねばならないでしょう。しかしながら、現実としてそれを納めなければ入学を認められません。どの道、少子化により入学数は減るので、卒業させずに在学生からの授業料で経営していくようになるしかなく、そう簡単に卒業させないという、本来あるべき姿になるのも近々の未来なのは明らかですが、これも時代の産まれあわせで止むを得ないところでしょう。未来に生まれてやり直しなど出来ないのです。 また、これは理不尽と言うより、完全な詐欺ではないかと個人的には思っているのですが、入学試験には受験料として3、4万円必要となります。予備校の模試など数千円ですから、試験そのものの実施に何万円もの必要経費が計上されるはずはないにも関わらず、この高価な受験料は昔から習慣化され、ほとんど各校横並びに状態で続いています。談合と言って悪ければ、申し合わせでもあるのでしょうか?これは、公正取引の上ではなはだ不当、法律上も疑義がある重大な詐欺行為としか思えませんが、これまた少子化の客(学生)寄せのために、近い将来の「価格破壊」は確実でしょう(無料で試験するようになるだろう。その際卒業生から、昔収奪したものを返還要求されたらどうしますか?)。しかし、はなはだ遺憾ながら、とにかく必要なのが現状です。嫌でも、払わなければ試験が受けられないのです。そして、1校しか受験しないことはあり得ませんから、とりあえず20万円くらい試験を「受けてやる」だけで必要となってしまうでしょう(受験生はお客さんなのだ)。 となれば、入学するまでに50万円程度は必要となります。これを時給千円以下で普通の生活をしながら貯めるのはつらいですが、夕刊も配って集金もしていれば13万円ほど給料がもらえ、住居費は要らないしボーナスは20万円にもなるわけですから、予備校に通ったとしても1年で貯められるはずです。 そして、めでたく都の西北の大隈講堂に行くことになれば、午後の授業をとり易くするため夕刊のないところに移っても良いかもしれません。ご不満もあるかもしれませんが、産経。大学1、2年時の奨学金は年額72万円、一方学費は85万円ほどと推測され、書籍などを含めれば90万円にはなるので、奨学金のみでは18万円ほど足りません。月1.5万円の赤字ではありますが、月給から差し引くと、それでも7万6400円残ります。これで食費(推定4万円)・水道・光熱費(推定1.5万円)を賄わねばなりませんが、・・・余裕でしょう、2万円以上残るではありませんか。さらに日本育英会の奨学金の貸与などを受けられたら(月額約6万円)、超リッチな生活も可能です。 これくらい具体的に話しが出来れば、経済的理由で簡単に進学を諦め絶望することはなかったのではないでしょうか。返す返すも残念です。