マナツの孵化
五体満足そうに見える「マナツ」 朝、エサの交換中に出てきたノコリが、カナリアシードその他をせっせと食べている。かつて無いことだ。怪しい。昨夜確認した時は卵のままだったが、孵化したのかもしれない。 昼、水の交換中に出てきたノコリが、やはりせっせと食べている。どう考えても怪しい、と思っていたら、「ゲコ・ゲコ」「ジュゴ・ジュゴ」と、生まれたてのヒナの標準的な声「シィ・シィ」と違ってはいるが、確かに何らかの生物の弱々しい鳴き声が聞こえた。 夜、やはり夫婦そろって出てきてしまった後、巣の中をのぞくと、何かうごめいているのが確認出来た。さっさと撮影して、その画像を確認すると、とりあえず健康そうなヒナで、そのうにエサが入っているのも確認出来た。また、なぜか卵の殻は擬卵にかぶせられてそのままになっているという、妙な状態も分かった。普通、孵化後の殻は親鳥が食べるか捨てるかするもので、装飾品するというのは珍しい。 この赤いイモムシ状生命体は、引き継ぎ時まで無事でいてくれたら、マナツと名づけられることになっているので、以下「マナツ」と呼ぶことにする。それにしても、真夏で無ければ孵化できなかったものと思う。何しろ、毎晩2時間も抱卵されずにいたのだ。 抱卵されないとどういったことが起きるか。まず冷え切ってしまえば細胞の分裂が滞り、成長のプロセスが停止してしまう。さらに、長時間卵の位置が一定だと、まだしっかりとした骨格も体格も出来上がっていない胚が卵殻膜に癒着して中止卵になったり、癒着が軽微でも孵化しにくくなったり、脚や翼などが圧迫されて奇形を起こしたりする可能性が高まる。 そのため、親鳥はクチバシで卵を回転させる転卵を行っているわけだ。人間の「床づれ」とその対策としての寝返りを連想するが、2時間それが行われずに大丈夫なのか、心配していたのである。何しろ、人工の孵卵器も、孵化直前以外は1時間に1度転卵するものと認識していたので、2時間それがないというのは、やはり問題があるはずなのだ。 しかし、とりあえず孵化したし、今のところ、取り立てて異常があるようには見えないので、良家の坊ちゃん的でおっとりした性格で子煩悩そうなノコリが、2週間程度頑張ってくれることを期待したいと思う。ただ、今日も夫婦ともカゴに帰れず(今日はノコリも帰ろうとしていたが、外付け容器の上まで行って戻ってきてしまう)、不安なままだが、そrでも余計なことはせずに、このまま成り行き任せにしようと思う。 いろいろ真夏の逆境を乗り越え、元気に育って欲しいものだ。