でんぷん雑考
黒クチバシがぁ 湯漬エサは文鳥に良くないとするのも、かなり非科学的な思い込みと言える。煮てしまって粘り気が出てしまったものを、大量に食べると、危険なことになるらしいが、それは非常識に類すると思う。 以下、考えついたことを、だらだらと・・・。 アワにせよコメにせよ、その主成分である炭水化物は、でんぷん質と言い換えることができ、でんぷんにはアミロースとアミロペクチンの2種類がある。そして、アミロペクチンの比率が高い品種ほど、加水と加熱で粘り気が生じ、糯(モチ)と呼ばれるようになる。例えば、お米の場合、モチ米のでんぷんはほぼ100%アミロペクチンで、一方、15%以上アミロースを含んでいると粳(ウルチ)と呼ばれ、日本の粘り気のあるお米は15~20%程度、タイ米などのパサパサしたお米は30%程度アミロースを含んでいるそうだ。 加水と加熱で粘り気が生じることを、アルファ化と呼び、それは60℃以上の温水で起きる。つまり、アルファ化していない穀類(ベータ状態)を食べている限り、体内でアルファ化することはないので、アルファ化したでんぷんは、不自然な存在と言える。小麦粉にせよパウダーフードにせよ、粒子が小さいものを、60℃以上の熱いお湯に漬ければ、すぐにアルファ化してしまうが、アワ玉やお米となると、中に浸透するのに時間を要するので、熱湯をくぐらせる程度では、アルファ化しない(ご飯を炊くのに時間がかかるのと同じこと)。となれば、アワ玉主体の湯漬エサは、自然なベータ状態のでんぷんだが、パウダーフードは加熱処理していないものでも、熱いお湯で溶くとアルファ化することになる。 しかし、アルファ化したら有害とは言えないと思う。アルファ化したから有害なのではなく、粘りの強いものがそのうに付着することで問題を起こすと考えられるので、粘り気に留意し(水分が少なすぎないようにする)、一回の給餌で大量に与えず、少なめに回数を増やして与えれば、むしろアルファ化していた方が、消化には良いはずだ(むしろ良すぎて、結果的に消化器官の働きが弱くなる可能性はある。一方で消化が良いので、栄養不良には即効性が期待できる)。 個人的に、文鳥に与えるお米は、アミロースの比率が比較的に多い、アルファ化してもパサパサした品種のものが良いと思っていたが、あまりこだわる必要はないかもしれない。なぜなら、普通に食べる時には、アミロースもアミロペクチンもベータ状態なので、粘り気は関係ないのである。 しかし、アミロペクチンの比率が多くモチモチした、コシヒカリなどのお米にアレルギーを起こす人が、粘り気の少ない=比較的にアミロースの多い品種では、アレルギーを起こさないことが多いのも事実なので、こうした日本人の嗜好に合わせ(ただし、個人的にはパサパサしたご飯の方が好き)、よりモチ米に近づけるような品種改良されたお米が、文鳥に適するとも言えない。 アミロペクチンとアミロースの比較としては、アミロペクチンの方がブドウ糖に変化しにくい点があるものの、せいぜい10%の比率の相違が、大きな意味を持つかは疑わしい。 いろいろな論点を含んでいるので、単純には結論を出せない。