そのコクシジウムは花粉かも?
ジャンプはしたノブちゃん ノブちゃんは、飼い主の声が聞こえるとギャッコ・ギャッコ鳴き、給餌の際も始めは大鳴き、終いは甘え鳴き、さらにピョコピョコ歩き回り、羽ばたき練習をし、10センチほどジャンプもし・・・、つまり、よく食べよく遊び、体重は21gとなった。 さて、個人から文鳥のヒナを購入したら(「里親」からの「譲渡」とも表現可能)、コクシジウムに感染していて・・・、という話が掲示板にあった。私には、文鳥のコクシジウムは軽症、の認識があるので、参考までに参考までに、2010年刊『コンパニオンバードの病気百科』のコクシジウムの項目から、以下のように要点を抜き出した。 コクシジウムと一言で言っても、罹患する種類は鳥種により異なりますが、文鳥については「未同定」、つまり、文鳥が罹患するコクシジウムの種類は、わかっていないそうです。その謎のコクシジウムの一種が「ブンチョウでは現在も頻繁に検出」され、寄生率が高いと推測されるそうです。それは、「一生を通じて発症しない」不顕性感染が多いため、気づかぬうちに蔓延してしまうからで、ブンチョウの場合は、一般に発症しやすいヒナの頃でも「ブンチョウで発症することは稀です」。そのコクシジウムが稀に発症(コクシジウム原虫の増殖)してしまった場合、軟便などになり、「ごく稀」に「致死的な急性の血便」を起こすこともあるそうです。また、花粉と形状が似ているので、セキセイインコをコクシジウム検出とするほとんどが、誤認と見なせるとの重要な指摘をされています。 筆者は、セキセイインコ限定のような指摘をしているのだが、花粉と原虫の見分けがつかないのなら、文鳥でもかなり誤診をしていたと見なすべきだろう。何の花粉かはわからないが、今現在、多く飛散しているヒノキの花粉も、形状はコクシジウムに似ており、つまり、いくらでも空中を飛散しているはずである。 それは、ともあれ、かなりの数が感染している蔓延状態にありながら、ほとんどの場合が症状に現れないようなものに、感染していたからと言って、大騒ぎする必然性があるだろうか?確かに、筆者の小嶋氏の指摘にもあり、その20年前に高橋達志郎先生が、『小鳥の飼い方と病気』において、文鳥が罹患しやすい病として「コクシジゥム症」を挙げ、「軽症の場合にはほとんど症状をあらわしませんが、濃厚感染している鳥は腸カタールの症状を呈し、便に水分多く・・・」お書きになっているように、文鳥に寄生が多いものと思われる。しかし、「一生を通じて発症しない」「軽症の場合にはほとんど症状をあらわしません」なのである。 このような寄生は、既に共生の域にあり、感染は日和見的に過ぎず、文鳥においては、おそらく文鳥にとっての通常のコクシジウムに関する限り無害、と見なした方が、実情に則しているように思われる。高橋先生は「濃厚感染」とお書きになっているが、それは直接的には別の要因で体調を崩した際に、最終的にコクシジウムが増加して、症状を引き起こすことを指しているように、私には思えるのである。 もちろん、そのような寄生虫は無い方が無難に思えるのだが、日和見感染で表に現れず、最終的な危険な発症も稀、などというものを、事前に見つけ出して根絶するのは、ほとんど不可能と思われ、それをひとえに飼育者の責任とするのは不当ではないかと、私には思える。 花粉と誤認しないスキルを持っている獣医さんであることを祈りつつ、もし、コクシジウムが発見されてしまったら・・・、無視するわけにもいかないので、駆虫するしかないだろうが・・・、困ったものではある。