五体満足の有難さ
昇りたくても昇れないタネ 安倍首相が大坂城を復元する際に、当然、オリジナルでは存在し得ないエレベーターを設置したと述べたのに対し、お怒りの方々がいるらしい(産経記事)。 公共施設など身障者が利用しやすいようにバリアフリー化されるべきことを否定しているわけではないので、批判には当たらないかと思う(センスの良いジョークとも思えない。復元工事中の失火でノートルダム大聖堂の屋根など焼失したフランスの大統領は、復元より新たに作り変える感覚のようなので、彼との会談の際に言ってやればエスプリが利いているとされたかもしれぬ)。復元と言うのは元どおりにするのが基本なので、不便なものは不便なままに再現させなければならず、それとバリアフリー化は別問題だ。 ところで、身障者が不自由なく社会生活を送れるように努力し続けるのは当然として、五体満足でなければ出来ないことが多いのもまた当然の事実だ。この件に関してコメントされている乙武氏は、手足のない不自由な身で小学校の教師に就任されて、その様子が盛んに報道されたものだった。そこでは、彼の手助けをすることで、教え子たちはいろいろ学べるとの好意的な評価をされていたが、私は、教師は生徒の身を守るべく最善の努力をせねばならない立場なので、それが出来ない人は、その職についてはならない、と再認識させらたものだ。 事件も災害もなく平和な日々が保証されているなら、教師が五体満足である必要はない。しかし、現実の世界では、自然災害は突発的に起きるし、また、学校内に乱入する殺人鬼もいるのである。残念ながら、そのような事態に、児童の介助を必要とする者は、いかに志は高くとも、足手まといにしかなるまい。 というようなことを、今日、定位置のツボ巣の上に行けず、カゴの底でたたずんでいる高齢のタネの様子を見て、ふと考えたのであった。 放鳥時は、エサが食べられるようにテーブルの上に置いたが、↑のように上に行きたがる。 一方、自由気ままで捕獲も難しい、ぐれてしまった手乗りフックは、飼い主の逆鱗に触れ(捕獲してカゴに帰したのに、いつの間にか再度出てきて暗い中を飛び回り、他の文鳥たちをパニックに陥れた)、飛べない鳥化することになった。両翼の風切り羽をバンバン抜いてしまったのである。 どちらも不自由な生活となるが、おそらく換羽のタネはそれが落ち着くまでの一ヶ月、羽を抜かれたフックはそれが生えてくるまでの一ヶ月、それぞれ乗り切ってもらいたい。