肥満の際のカナリアシードは療養食?
煮干しを貪る・・・サチィかな 文鳥などの小鳥が好んで食べるため、たくさん食べる→栄養価が高い→太る、と科学性も現実性も無視した大昔からの想像をそのままに、一部の獣医師など関係各位から排除対象とされていたカナリアシード(カナリーシード)だが、実は脂質を分解する酵素リパーゼ (lipase)を含み、サプリメントの広告風に単純化するなら、「脂肪を分解し痩せる効果があるんですよ !」と見なせる情報を頂いたので、検討したい。 なお、私の場合は、文鳥のほとんどがカナリアシードを好むが、皮をむいてしまうとあまり食べなくなるので、好きな理由は栄養価には無く、殻をむく行為が楽しいからだと思っている。 さて、寄せていただいた情報によれば、アメリカ合衆国で人用の健康食として売られているカナリアシード(「MORNING BIRD」社)にはこのように書かれていたそうだ。“CANARY SEED is anexcellent source of the enzyme lipase which is responsible for removing excess body fat. Canary seed has in it as much protein as meat and is very high in amino acids,contains seven times more potassium than a bananaand more calcium than a cup of milk. Most birdswill eagerly accept Canary Seeds.” 消化器の中で作用して必要な脂肪を体内に取り込むのに必要とされる酵素リパーゼは、一方で体内に蓄積されている脂肪を分解してエネルギーに替える働きもあるらしい。従って 「removing excess body fat」、余分な体脂肪を取り除く、と言えないでもない。多くの脂肪を食べた場合は、リパーゼの効果により脂肪の吸収が促進され、すでに脂肪が蓄積された肥満状態で運動などをしてエネルギーが消費される場面では、より速やかに体内脂肪を減らすことになると考えられるのである(このようにサプリメントの広告のように単純ではない。ああしたものは作用の一部だけを誇張する)。 文鳥の主食として考えた場合、カナリアシードや他の雑穀類(ヒエ・アワ・キビ)などの脂質含有率は10%未満の低脂肪食品なので、よほど過食しない限り、脂肪太りは起こさない。リパーゼの作用で少ない脂肪が効率的にエネルギーに転換するとするなら、むしろ、ペットショップなどはカナリアシードの配合量を増やした方が良いのではないかと思う。一方でもし肥満した場合は、カナリアシードがリパーゼを多く含むなら、それをより多く摂取して運動量を増やせば、蓄積した脂肪が消費されやすくなり、減量ダイエットが促進されるはずである。 カナリアシードにより脂肪太りが促進される可能性低く、一方で栄養的に有用な面が多くあり、すでに肥満状態のダイエットには、むしろより多くの摂取が推奨される。案外にも、リパーゼを多く含むのなら、肥満したらカナリアシード増量して運動、が結論となるのである。 何の科学的根拠もなく好物を否定して取り上げては、文鳥が気の毒である。ペットショップなどから迎えた文鳥は、カナリアシードに飢えていて、そればかり食べようとするので、かえって過食を起こすことになる。例えば人間でも、無理なダイエットで拒食症になり、飢餓から逆に過食症状を引き起こして、それを繰り返すことが知られている。極端は逆の極端を招くので、食事制限は難しく、安易に行うのは軽率と言わねばならない。 太らないためには、大昔の迷信を疑いもしないような自称有識者の繰り言を妄信し、特定の食品を排除するようなことをせず、まずはエネルギーの消費、つまり運動、文鳥であれば特に水浴びをさせること、これが第一であり、その際はむしろカナリアシードを多く与えて構わない、わけである。