テーマ:☆詩を書きましょう☆(8464)
カテゴリ:インコ男爵の館
蒸気とアンモニアの匂いが充満する廊下で、わたしは無数の瓶が並んでいるのを見た。
パラシュタイン博士に案内されるまま、気の遠くなるほど同じ風景の繰り返しの中を進む。 そして目が慣れてきたわたしは、驚くべく事実に立ちくらみさえ起こしそうになったのだ。 無数に並ぶ瓶の中には、それぞれ小さな生き物が動いている! 「これは狂気だ…。」 思わずつぶやいたわたしに、パラシュタイン博士は無表情で答える。 「狂気ではない。この世の中でもっとも優れた生物を生み出しているのだ。のう、ジャムや。」 ジャムと呼ばれた瓶の中には、まるで少女の様な小さな生き物が息づいている。 「この子こそ、僕らの最高傑作さ」 パラシュタイン博士の言葉に助手たちが続く。 「生まれながらにしてすべての知識」「知識」 「岩をも砕く精神力」「精神力」 「でも、この子は瓶の中でしか生きられないけどね。けひひひひひひ。」 わたしは何かが間違っている様な気がしてならなかったのだ。 (1994) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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