冬季五輪~
≪卓状四季≫ 日本とスキーとの出会いについては明治末期、オーストリア陸軍参謀レルヒ少佐による新潟・高田師団の将兵への技術指導などが良く知られる。 が、其の200年以上も前に”スキー”をはいた日本人がいた。綿密な取材で知られた作家吉村昭さん(故人)によると、それは「伝兵衛」と言う元禄期・大阪の番頭さん。 廻船に乗って江戸へと向かう途中、暴風雨に遭いカムチャッカ半島に漂着した伝兵衛は、コサック隊長アトラソフの捕虜となった。後にピョートル大帝に謁見しているが、移送中に<スキーになれていないため足を痛めた>との記録が残っているそうだ(「事物はじまりの物語」筑摩書房) そんな伝兵衛が冬季五輪を見たら、驚いて腰を抜かすのではないか。軽々と野を越え丘を越え走り、急斜面を巧みに滑り降りるだけではない。いくつものコブを攻略したり、くるくると宙返りをしたり・・・ ソチ大会から新種目に加わった「スロープスタイル」にいたっては、階段の手すりの上まで滑ってしまう。その障害物のひとつとして設置されたロシア土産でおなじみのマトリョーシカの巨大人形には、あぜんとした。 賛否はあろうが、厳しい環境を生き抜くための用具を遊具に変えて行った人類の”遊び心”がなせる技だろう。メダルの色も気にはなるが、雪と氷のせかいならではの心躍る速度感を存分に楽しみたい。2014.2.11 道新より 雪国に住んでいるのに スキーも スケートも苦手な 運動音痴の私は見ているだけでハラハラしている。今回は メダルは取れないかもと思いつつ~