札幌「すすきの」~子供も女性も安全に歩ける(?)フツーの街に
「すすきの」と云えば、日本三大歓楽街の一つとして有名だ。男性諸君からすれば、すすきのと云うだけでちょっとした憧れなり妄想なり膨らませてしまうのも無理はない。かつては、「街へ繰り出す」=「すすきの」であった。ところが現在のすすきのは、商業地としての地盤沈下が大きな悩みだと云う。拙者は札幌へ移住してまだ三年も経っていないので、昔の凄さを知らない。夜のネオンがテカテカと輝く光景は今も健在だし、金曜日の夜の混雑ぶりも見事である。だが、すすきのの低迷を象徴する一つを、拙者は既に発見していた。これは東宝の一株主だから気になった訳だが。ベージュの建物が東宝公楽~手前は雪まつりの氷像が 奥に見えるベージュの建物は、東宝公楽と云って、もちろん映画館もある有名なスポットであった。ところが、拙者が札幌に移った頃には、もう映画館が閉館していた。平成25年3月のある日、NHKニュースで「すすきのの有名なキャバレー『クラブ・ハイツ』が閉店へ」と云う特集をやっていた。要は、此のキャバレーは東宝公楽に入居していて、建て替えに伴い40年以上の歴史に終止符が打たれた、のである。NHKニュースですら取り上げるのだから、よほど有名なキャバレーなのだろう。映像を見る限り、昭和レトロモダンな雰囲気の伝わるキャバレーであった。あー、本物の「大人」が訪れる店なんだな、と思った。恰幅のいい体をどっしりとソファに埋めてね。ブランデーグラスを片手に、ホステスさんと優雅なひと時を過ごして。今風の「居酒屋」で繰り広げられる、バラエティー番組をそのまま持ち込んだような、黄色い声の錯綜などとは無縁の世界だ。ステージで奏でられているジャズの演奏も聴こえる程度に抑えないと、ムードが出ないでしょ。そもそも、こうした「ムード」に耐えうる大人がいなくなってしまった。これも時代の流れなのだ。で、この東宝公楽の跡地に何が出来るのか?これについては東宝のサイトでも既に情報がUPされている。それによると、ラウンドワンと云うアミューズメント施設が入り、東宝はあくまで不動産管理に徹するらしい。何だかフツーの街角の一角と云う感じ。老舗のバーやナイトクラブが姿を消し、全国展開するチェーン店が軒を連ねる「平準化」「没個性化」の波がじわじわと浸透している気がする。確かに、治安は良くなったと云うけど客引きは違法行為として逮捕・・・厳格な条例の施行により、すすきのは安全な街になったと云う。すすきの交番は、北海道で最も忙しい交番なのは変わらないが、観光案内所のような雰囲気も無くはない。立ち番をしていると記念撮影を求められると云うから、何とも平和なものである。すすきのの中心部にイトーヨーカドーがある。婦人服売り場の品物は、郊外に展開している店舗とは明らかに違うのはさすがだが、地下の食品売り場は普通のスーパー。主婦とみられるフツーの買い物客でごった返している。今のすすきのは、女性も子供も平気で歩けるフツーの街なのである。すすきの写真館