ぜんぶ雪のせいだ!相模原市内で遭難しそうになった話
2月14日、久しぶりに相模原市の実家へ帰った。国電を乗り継いで行く訳だが、もう外は雪・雪・雪。札幌から新千歳空港へ向かう途中や、特急列車で道内を旅する途中の、車窓一杯に広がる雪景色を思い出した。関東でこんな景色を拝めるのも悪くはない、そんなロマンチックな感情でいた訳だが、その後はとんでもないことになった。横浜線の駅へ着いても、バスが来ない。ある御婦人によると、他のバスの運転手に聞いたところ「営業所が違うから分からないが、運休かもしれない。スマホで会社のサイトを見てほしい」とのこと。拙者はスマホを持っておらず、未だにガラケーなので困った。もう体もすっかり冷えた。バスは来ないと判断して、実家まで歩く。ところが、意外に雪が深い。ショッピングセンターが立ち並ぶ界隈を過ぎると、後は閑静な住宅地。クルマが作ったわだちを選んで歩いていたが、どんどん雪が深くなってくる。実家の町内に入ると、もう前に進むのも困難になった!靴は札幌のエスタ(意味分からない人すいません)で買った雪用の靴。滑らないで歩けるが、膝まで雪に埋まる道では効果がない。雪が靴に入り込んで、踵が死ぬほど冷たい。え、相模原市内で遭難?あり得ないよね、と思ったが、脚が容易に上がらない時は、本当に生命の危険を感じた!実家までの最後の100mがこんなに長いとは。はっきり云ってこれまでの札幌生活でも、こんな過酷な経験をしたことはない。これが北海道なら、確実に凍死だよな。大変だったのは、重い荷物もしょってたこと。どうしても届けたかったものがある。札幌の彼女からもらったワインだ。拙者は情けないことにワイン一本を一人で空けることが出来ないから、両親に飲んでもらおうと思ってた。 持って行った甲斐があった、超美味い!実家で夜食を食べさせてもらって、ソファで横になっていたが、胃がキリキリ痛んで夜中になっても目は覚めたままだ。本当に生命の危険を感じたらしく、興奮状態だったらしい。深夜のNHK「ETV特集戦時徴用船~知られざる民間商船の悲劇~」をずっと見ていて、さらに目が覚めてしまった。この番組は、旧大阪商船の嘱託画家、大久保一郎氏の作品を通じて、太平洋戦争で軍に徴用された輸送船の悲惨な実態に焦点を当てていた。見ていて涙が出そうになった。生存者の証言を基にスケッチしているため、絵は極めて正確であるらしい。炎上しながらも目的地に突入しようとする船、恐らく一瞬で轟沈したと思われる船、船がまるで生き物のように見えてしまった。それらの船に乗り込んでいたのは、みんな丸腰の船員さんなのである。船員達の様子も極めてリアルに描かれていた。御婦人のために筏の場所を譲る若い船員、筏に群がるサメと戦う船員達、爆弾の直撃を受けて炎に巻かれる船員、浮上したアメリカの潜水艦が、筏につかまる船員に機銃掃射する絵まであった!太平洋戦争で失われた民間商船は2400隻、戦死した船員は6万人、悲惨極まる史実である。「北から目線」でも全然笑えない大雪さて、このバレンタインデーに降った大雪は、想定外の被害をもたらした。こういう一大事になると、人々はヒステリックになる。早くも「この場に及んで首相が天ぷらを食ってた」などという批判が出た。そういう批判をしている人こそ、何をやったというのだろう。天ぷら屋さんは、客が来る限り天ぷらを揚げる。それは東京一の高級店であろうが「てんや」であろうが同じだ。お客が来る限り、それを捌こうとするのは外食産業も鉄道会社も同じはずで、みんなギリギリまで頑張るから、何とか社会が回っているのである。「ぜんぶ雪のせいだ」雪そのものに憧れやメルヘンチックな感情を注入してるJRのスキー客向け宣伝広告を見て、苦笑いすら催した。JRにとって今回の雪による被害は「ぜんぶ雪のせいだ」 と言いたくなっただろう。「北から目線」で見るようになった拙者でさえ、今回の雪は全く笑えなかった。やはり異常気象の影響ではないかという懸念が残る。今後、このような「前例のない極端な」事象が頻発するのかも知れない。イザという時の備えを研究するとするか。横浜線に新型電車が入線せり実家に丸一日居候させてもらい、翌日に引き揚げることにした。横浜線の駅で電車を待っていたら、やって来たのは見たことも無い新型電車。車内のディスプレーに沿線各地の天気予報までやっている。凄い!相模原を数年留守にするうちに、世の中はさらに変わって行くことを実感。自宅へ着いたらこの有様でした。