「新婚旅行」第2弾~十三はやめて「アベノハルカス」に泊まってしまった
結婚して数ヶ月、大阪の家族親戚に挨拶するため、泊りがけの大阪旅行をすることになった。ネットで新幹線付き泊まりプランなどを「下から順番に検索」して行くと、ホテルの立地はどうしても十三や西中島南方なんてことになる。嫁さんは北海道人、十三や西中島南方と言われたって雰囲気すら分からない訳だし、そもそも十三を「じゅうそう」と読めないだろう。しょぼい話ばかりしてるうちに、親から「新婚なんだし・・・アベノハルカスくらい泊まりなさい」と一枚のパンフレットをいただく。近畿日本ツーリストのパンフレットだ。日本一高い超高層ビルと鳴り物入りで登場したアベノハルカス、そこの高層階に位置するのは大阪マリオネット都ホテルだ。そのパンフレットを見て「おや?」と思った。結構安いのだ。最寄りの近畿日本ツーリストの支店へ入ってみた。実は近ツーの店舗に入るのは初めてだと思う。担当者によると、ホテルの部屋もまだ空きがあるとのことで、結局「新幹線往復+大阪マリオネット都ホテル(朝食付)」を予約してしまった。★いよいよ「あべのハルカス」に入城の巻天王寺駅を降りて、地下街の光景が全く変わってしまって戸惑った。昔は近鉄百貨店の入り口以外は、古びた喫茶店ぐらいしか無かったように記憶している。あべのキューズモールもなくて、ディープな商店街が軒を連ねていたっけ。昔の雰囲気が残るのは阪堺電車。相変わらず阪堺電車のラッピングはどぎつい。キン肉マンやパンダは許せるが、霊柩車のようなラッピング(葬儀屋さん)はいただけない(笑)。付近を散策してたらあっと言う間に時間が過ぎた。とりあえずホテルへチェックイン~受付では外国人観光客の姿も多数見られた。さて、我々が泊まる部屋は43階の何とかルームという一番安い部屋。天王寺だし、全く期待はしていなかったが、部屋を見て茫然とした。壁一面に広がるガラス張りからは、堺方面の景色が一望できる。全てのビルやマンションを見下ろせる位置だ。しかも、部屋のセンスも悪くない。備え付けのテレビ何インチ?冷蔵庫の上にはエスプレッソマシンが。テーブルも広いし、チェアのデザインもなかなか。バスルームのクオリティの高さも目を見張った。ドアはガラス張り、壁もガラス張りっつーことは風呂が部屋から丸見えなのである(笑)。見せたくない時はブラインドか目隠しのドアを使用することになっている。★展望台に上がってみた! 建築物のデザインという観点でアベノハルカスを評すると、「まだ工事中?」というのが拙者の感想。鉄骨を武骨に積み上げた外観は、正直面白くない。ただ背が高いだけでしょ、という訳である。展望台からの眺望が唯一の魅力か。ホテルの宿泊者は、早朝の営業時間前に展望台に上がれる。エレベーターの光の演出は面白かった。徹底的に近未来を表現している訳で、「天王寺」「ミナミ」「近鉄南大阪線」という従来のディープなイメージを完全否定しているかのようだ。天王寺駅、動物園、そして通天閣もこんなに小さく見えてしまう。やはりここは「異次元」の空間だと思った。かつて、ごちゃごちゃした商店街が軒を連ね、百貨店のショーウインドーの前でおっちゃんが半裸で寝そべっていた天王寺駅前~ここでしか見られなかった空間は次々と消えていった。かといって新しいものからは「結局何を表現したいのか」がいまいち伝わってこない。展望台からは「スーパー玉手」のどぎつい看板が見えた。あー、天王寺らしいものがまだ残っている。新と旧の凄まじい落差を痛感。★開き直って回顧趣味へ?通天閣★大阪レトロモダンな雰囲気を愉しむ 嫁と夜の街へ繰り出した。天王寺駅から動物園前駅へ、そこから堺筋線へ乗り換えた。堺筋線ホームに入線したのはマルーンの光沢眩しい京都河原町行。嫁はそこでめでたく阪急電車初乗車である(笑)。恵美須町で降りて地上へ上がった。そこにはネオン輝く通天閣が。商店街のスナックからは、前につんのめってコケそうな勢いのド演歌が漏れ聞こえる。うーん、これは昭和の雰囲気である。さて、通天閣の入り口を見て早くも感服モードになった。入口通路は阪堺電車の車内をモチーフにした装飾で、「そや、昔こんなんやった!」と懐かしい気持ちにさせてくれた。通天閣は、過去にも行ったことがあるが、このような演出は無かった。どうも「100周年記念事業」の関係でいろいろ改装を行ったらしい。そして展望台でビリケンさんを拝む。 エレベーターで下に降りる。エレベーターも改装されていて、過去へタイムスリップを意識した演出が施されていた。アベノハルカスと真逆の表現である。なるほど3階は、ちょっとした回顧趣味的な博物館のようになっている。100年前の新世界を表現したジオラマが展示してあった。昔、このような展示物は無かったと思う。牛さんが荷車を引っ張っているよ(笑)。阪堺電車恵美須町駅ってこんなに立派だったのか。ジオラマを見ながら、100年という時代の流れに思いを馳せる。展示物はジオラマだけではなく、大阪の様々な写真等がパネル展示してあって、まさに大阪レトロ博物館という雰囲気だ。通天閣そのものの古さを活かすとなると、もう開き直って過去という逆方向の時間へ向かうしか無いのだろう。さて、地下鉄御堂筋線に再び乗車したが、今回もポールスターに乗ることは出来なかった!けれども天王寺駅で素敵な出会いがあった。たまたま向こうのホームに入線したのが、過去の復刻塗装を施した列車。うーん、大阪レトロモダンを十二分に堪能したという感じ。この夜は、余興に道頓堀も散策する。驚いたのは、観光船が頻繁に行き来していること。どの船もグリコのネオン看板の前でしばし停船した。そらそうだよね。中には停船したかと思ったら、いきなりジャズの演奏を始める船もあった。道頓堀ってやっぱり面白い!