東海道新幹線「こだま:グリーン車」~B級スポット的で不思議なグリーン車
嫁と大阪の家族・親戚宅を訪問した帰り、連休なのでゆっくり帰って構わない訳で、どこかへ寄り道するかそのまま帰るかいろいろ考えていた。そこで面白いものを見つけた。新幹線「こだまのグリーン車」が安く使えるというのだ。 拙者が小学生の頃は、大阪へ行くのに「こだま」をよく使った。実家から小田急で小田原まで出て、そこから「こだま」で大阪へ向かったのだ。当時、「ひかり」は東京‐名古屋間がノンストップだった。今は東京(といっても多摩の山奥)に住んでいるから、東京駅から「のぞみ」を使うのが当たり前になっている。 もはや片道4時間の長旅をわざわざ選択する必要は無いのだが、グリーン車なら長く乗っていても悪くないか、と考える。 とりあえずJR東海ツアーズの店舗を訪ねてみた。店舗もあらかじめ調べる必要がある。新宿店は平日しか営業していない。得するためには行動力が必要なようで・・・。 カウンターで説明を聞いたが、商品名「プラッとこだま」は「企画旅行」であって「切符」ではない、ということ。つまり、指定された列車以外は一切利用不可。解約はキャンセル料が発生するなど、様々な制約がある訳である。そもそも、座席数に限りもある。嫁と席が隣になれるかを確認してから購入しておいた。料金は「新大阪→東京11,800円」という、グリーン車ではあり得ない値段だ。乗車当日~乗ってみたらこうだった さて、大阪からの帰り道、とりあえず新大阪駅へ着いた訳だが、改札へ入るところから普段と違っている。あらかじめ指定された有人改札で確認を受けることになっている。購入時も改札時も「有人」で、逆に人の手間をかけているのが「?」である。 「企画旅行」には飲み物引換券がついている。改札内の売店で指定のマークが貼ってある店で飲み物を入手。我々が乗った列車は、昼過ぎに出る列車。果たして「こだまのグリーン車」に乗る人が、どれほどいるのか興味深かった。主に近距離利用が中心の「こだま」で、グリーン車が3両も連結してあるのは、前々から不思議だった。車内の様子はこんな感じ。シートがゆったりしているのはさすが。空席が目立ったが、車両中央付近の席を中心にさらっと埋まった感じ。我々と同様、みんな服装はラフで、エグゼクティブ感ゼロ(笑)。早くも、暖かそうな毛布にくるまって寝台列車モードのお客さんも。みんな「プラッとこだま」「そうじゃなきゃ使わない」ということ? 座った感じだが、居眠りも困難なほど窮屈な5列シートとは格段の違いだ。これなら長時間居るのも悪くない。車内は間接照明で暗いが、本を読みたければ読書灯を使用すればいいのだ。 時間だけやたらとあるので、もちろん昼食も車内で。大阪からの帰りといえば、やっぱり「ホウライのシュウマイ」だ。昼食用に買ったチマキと豚まんを堪能する。ちょうどその時、車掌が検札に来た。車掌の爽やかすぎる笑顔は何を意味するのか。今気が付いたが、となりの人も斜め前の人も、ホウライの紙袋を持っている。こんなホウライだらけのグリーン車も珍しかったのか? ホウライのシュウマイは、「シュウマイと言えば○○軒と思い込んでいる人生半分損した東京人にドヤ顔を見せたい」ための必需品(あるいは「買って来い!」と強要されるが故・・・)でもあるため、紙袋もつい大きくなって目立つのだ。 昼食を終え、あらかじめ買った雑誌や席に置いてある雑誌を読んだり居眠りをしているうちに時間は案外すぐに過ぎた。富士山は初冠雪だそうで、ちょっとだけ雪を被っている。もう何回「のぞみ」に追い越されたかも忘れたが、熱海から予想外の展開が。中国人観光客がドヤドヤと乗り込んできたのだ。これで静かな空間は一変(これまでの静けさは、何だかネットカフェの静けさを連想させる)・・・なぜか中国人は、こんな所でも大声を出し、走り回る。しかしながら・・・この光景を見て考えられるのは、1.旅行会社がご丁寧にグリーン車まで手配してくれた。2.グリーン車に乗る程の距離でも無いが・・・ということも特に考えずにグリーン券を買った。3.別途料金がかかる、というのも知らないだけ 何だかよく分からないけど、まぁ何でもアリっぽいところが「こだまグリーン車」・・・車販も無し、アテンダントなんかいる訳無し、上質空間なのに逆にB級スポット的空間に思えてくるんだから不思議である。