散る花や昭和は遠くなりにけり
まだ平成の方が、字面として近未来的な雰囲気を持っていたように思う。4月1日のあの日、新たな元号は令和と聞いて、まるで奈良時代みたいな響きやなと一瞬ポカンとしたが、万葉集を引き合いに出して決めたというのだから、そう響くのもやむを得ない。スマホを木笏に持ち替えたような浪漫を感じつつ、ちょうどその頃満開なりし桜を見るに及び、あおによし 奈良の都は 咲く花の 薫がごとく 今盛りなりなどという一首を、拙者が愛用してる日本史通覧の中に見つけて感じ入ったというのだから、4月1日にしてはまぁ幸先のいいスタートなのかもしれない。ネットの世界はどうか知らんが、その日は特段エイプリルフールにひっかけて遊んでいる向きも見られなかった。こういう場面になると日本人は真面目なものである。もっとも、拙者だって4月1日に結婚という人生の節目を迎えており、エイプリルフールにひっかけられない事情を抱えているのである。結婚記念日という事実は事実であるから・・・その日はケーキを作っちゃう。この日のケーキは、マジックケーキミックスという新たな素材を試す。これは何かというと、オーブンで焼いているうちに、1階:もちっとフラン、2階:やわらかカスタード、3階:ふわっとスフレ、の3層構造に仕上がるというのである。もちろん、白身を泡立ててメレンゲを作るという工程は省略できない。出来たメレンゲとミックスと牛乳とか全部混ぜ合わせるんだけど、ドロドロになった液体がどうやって3層になるのか不思議でならない。型に入れたドロドロの液体をオーブンで40分焼いた結果、言われてみれば層に分かれたような感じ。切り分けて食べてみたら、3層は微妙だったけど、2層に分かれたのは確実だった。ところが味の方がイマイチで、これは拙者の性じゃない。当ブログも開始から14年を過ぎ・・・中旬まで花冷えも甚だしく、桜も長い間もっていたし、ダラダラと寒かったから季節の移ろいを実感できないでいたが、花散る頃になってあれよあれよという間に日が過ぎて行った感じがする。平成という時代が終わるという感傷に浸る余裕も無かった。でも思い返してみれば、このブログが始まったのが平成17年だったから、もう14年は経過しており、それは平成という時代の半分近くになるのだから、それはそれで少々感じ入るものがある。何故ブログをやり始めたのか?それはメモ帳で作るホームページ(→詳しくはこちら)の延長で考えていたという、若い衆には理解し難いであろう理由からだ。ブログにもhtmlタグをいちいち多用するのは、その名残である。でも初めの頃は、案外サラッとブログ記事を書いていたような気がする。編集時間が長くなって行ったのは、htmlの知識が増えてレイアウトに凝るようになったからだ。でもこれが裏目に出ることがあった。楽天ブログさんの側でテンプレート仕様が変えられたりすると、変更以前のレイアウトが微妙に合わなくなって不自然になったりしたのだ。だから、あまり凝らないように心掛けているけど、編集時間は長くなる一方である。世の中どんどんリアルタイムな投稿手段が現れるのと対照的に、こっちは全然リアルタイムで無くなっていった。「昨日こんなことがあった」がいつの間にか「先週こんなことがあった」、ひどい時は「先月こんなことがあった」である。旅行に行ったネタを書き終わるのに2ヶ月くらいかかったりする。もう鎌倉時代か室町時代のテンポだ。さて、いよいよ平成も終わりに近づいて来た。連休中は大阪の家族親戚に会ったりするので、お土産などを買っておく。大正・昭和・平成の時代を生きてこられたグロースムッターに敬意を表し、元号を意識したモノを選ぶことにした。空暖かにうち晴れし皇居二重橋をうち眺め、帰りに外苑のお店で見つけたのは、菊園という皇室御用達のお店が作っている菊最中で、天皇陛下御在位三〇年記念の桐箱入りの一品である。元号を跨いで計算する時、昭和と平成では常に往生していたが、御在位三〇年で退位されることで年数が数え易くなる。さらに、令和をR-18と表せば、何と西暦との変換も容易であるとのこと。こうして前もって準備が出来るのも、様々な意味で陛下のご配慮があったからで、ここは感謝せねばならぬ。