宝塚「翼ある人びと」~タイムスリップしてまで見に行きたかった!
シューマンの奥さんとブラームスは不倫関係にあったのか?クラシック界では大昔から賛否が渦巻く永遠のテーマなんだけど、こういう男女交際の際どい歴史小話に目を付けるのは、さすが宝塚らしい。拙者は「愛の協奏曲~ブラームスとクララ・シューマン」と云うドイツ映画を見たことがあるので、話のネタは知っていた。さて、今年は宝塚観劇どころでは無かった。コロナ禍云々以前に、昨年から仕事の関係で鹿児島市に赴任しているから、物理的に観劇に行く事が出来ないのだ。だから、今年は「タイムスリップしてでも見に行きたい」お芝居のDVDを買おう!と云うことになった。そして選んだのが「翼ある人びと」なのである。送られて来たDVDは、こんな感じ見たかった理由は幾つもあって、とにかくシューマンのピアノ協奏曲、ブラームスの交響曲(3番とか4番とか)に、思い入れがあるからである。音楽的に渋いクラシック音楽の最たるものだが、抒情的な作風が拙者好み。お芝居でも登場する、リストやワーグナーとは対照的な雰囲気だ。もちろん拙者はシューマン・ブラームス派で、リストやワーグナーは一切聴かない。オマケに付いてた資料もう一つの理由は、池田泉州銀行イメージガールだった伶美うらら様が出演されているところ。此の銀行の利用者なんです。DVDに付いていたのが当時の雑誌「歌劇」なんだけど、裏表紙が池田泉州銀行の広告で、もちろん伶美うらら様が載ってる、というところが粋である。当時の銀行ポスターは何枚か記念に持っているが、恐らく邦銀で最も華麗なポスターだと思う。一体何のポスターかって思ってしまう伶美うらら様と宙組トップスター朝夏まなと様との共演で、もう一つお気に入りのお芝居が「神々の土地~ロマノフたちの黄昏」であった。同じく上田久美子先生の演出で、やはり求められる美意識が共通のものがあって、拙者のツボにハマるお芝居なのである。何と言ってもクラシック音楽の効果的な使い方がお見事だ。雰囲気として、小林一三先生が好きそうなお芝居なのではないか。拙者的に大ウケだった「神々の土地」宝塚は、役者が無理に役作りをすると云うより、トップスターや娘役トップの個性に合った役を設定してお芝居を作る、と云う傾向がある。なので、伶美うらら様が「クララ・シューマン」を演じるのは、やはり年上の役が似合いそうだから!なんだと思う。面白いのは「翼ある人々」「神々の土地」~いずれも実年齢よりも大幅に老け役であるところ(笑)。クララ・シューマンは、ブラームスよりも14歳も年上で、しかも子持ちの母。「神々の土地」で演じた大公妃イレーネに至っては、主役のドミトリー大公よりも27歳も年上の未亡人!トップスター同士で、何が何でも恋愛感情を結びつけるのが宝塚の伝統だが、27歳年上は史上最高齢ではないだろうか。母性溢れる年上の女性を、ヒロインとして華麗に演じる必要がある訳で、星風まどか様や、綺咲愛里様のような、キャピキャピした娘役さんでは、これらは到底務まらない。其れを思うと、伶美うらら様は、宝塚でも希少価値な存在だったと思う。では早速DVDの鑑賞を・・・冒頭からブラームス:交響曲第三番第三楽章をピアノ協奏曲風にして出して来た!やはりブラームスと言えば此の曲ですか。シューマン家を訪問したブラームスが、求められて一曲弾いたのも、交響曲第三番第三楽章!本当にクラシック好きにはたまらないお芝居である・・・。