鹿児島から博多まで肥薩おれんじ鉄道を経由して8時間かけて行くとこうなった
去る令和参年十月X日、博多座にて宝塚月組公演『川霧の橋』の観劇が実現することになった。開演は16時、約1時間前に現地集合となったが、鉄ヲタと云う人種は、鹿児島から博多へ新幹線一本で向かうなどという事をしない。考えに考えた挙句、当日の行程は以下の通りとなった。【九州新幹線】鹿児島中央駅 7:03→出水駅 7:26(さくら542号)【肥薩おれんじ鉄道】便名:1便モーニング出水駅 7:54→新八代駅 9:39着【鹿児島本線普通列車】新八代駅 10:09→上熊本駅 10:50【熊本電鉄】上熊本駅 11:21→藤崎宮前駅 11:37・市役所展望台で休憩【熊本市電】市役所前電停 12:51→熊本駅前 13:08【九州新幹線】熊本駅 13:40→博多駅14:30(つばめ318号) 鹿児島中央駅まで市電に乗ったり、博多から地下鉄に乗ったりする時間も含めたら全行程8時間!肝心の宝塚観劇の前に早くもお腹一杯だけど、其れだけ内容の濃い一日であった訳であります。其れでは、旅の合間に撮った写真の幾つかを紹介するとしよう。まずは出水駅で新幹線から肥薩おれんじ鉄道に乗り換え。出水駅西口には蒸気機関車の展示があって、早くもテンションはMAXであります。一方、駅東口には鶴のオブジェがある。出水市は日本有数の鶴の越冬地でもあるのだ。しかも、出水麓と呼ばれる武家屋敷跡があることでも有名。残念ながら、直ぐに乗り換えせねばならないので、とても武家屋敷まで見に行けない。駅ホームの垂れ幕で雰囲気を味わっておく。旧鹿児島本線の鉄路を行くいよいよ肥薩おれんじ鉄道「第1便:モーニング」に乗車。車両は「おれんじ食堂」の特別車両で、我々が乗った便は朝食付きであります。群青色の車体が美しい!水戸岡デザインでリニュアルされた水俣駅を過ぎてから朝食が配られる。パン2個だけ?などと思わないでいただきたい。このパンがなかなか食べ応えがあるのであります。一つはおかずの入ったハンバーガーと、果物の入ったスイーツのパン。いずれも地元産の食材にこだわった品々。パンプキンスープに珈琲も飲んで、十分お腹一杯になった。車窓からは八代海が見えて来る。いい天気でしょ?是でも天気予報は曇り時々雨だった。内心、何時まで持つかハラハラしていたところ。単線の線路が延々と続く。実は、此の鉄路は旧鹿児島本線。門司や博多から鹿児島まで、在来線の特急が走っておった訳です。海岸線沿いを曲がりくねった鉄路が続く訳で、確かに景色は素晴らしいんだけど、恐ろしく時間が掛かったのだろう。現在では、其れを逆手に取って「ゆっくりと、ゲミュートリッヒな時間を過ごす」旅を愉しむことに価値が生まれている訳だ。愉しむ側も、心のゆとりがあってこそなのだが。肥薩おれんじ鉄道の写真は、ホームページ側にもあります。詳しくは→こちらからもはや奇蹟に近いタイミングおれんじ食堂での充実した時間も、やがて終わりが来てしまう。旅を演出して下さったアテンダントの皆様に感謝しつつ、終点新八代でJR九州の鹿児島本線に乗り換え。此処からは急に落差があって、乗った車両は如何にもJR九州的な地方都市近郊用通勤電車であった。まーだ新幹線に乗りませんよ!我々は熊本駅の一つ先の「上熊本駅」で下車をした。此処で降りるのは複数の訳があるのだ。まずは、此の数分後に「SL人吉」が通過することになっている!来たぁー!と「目薬片手に歓喜の声を上げそうになった」とは此のこと。SL人吉であります。ディーゼル機関車のフォローを受けての運転だが、ちゃんと煙を吐いての牽引である。実は、帰路にSL人吉に乗車する予定で、もちろん帰りも新幹線一本で帰る気なんか毛頭ないのである。上熊本駅を降りたもう一つの理由は、生まれて初めて熊本電鉄に乗ると云う目的があった為。やって来た電車は、旧営団地下鉄銀座線の車両だが、くまもんラッピングがどぎついまでに貼られているのであります。車内も此の通り、大変なことになっている。北熊本駅で藤崎宮前方面へ乗り換えるのだが、此の駅は熊本電鉄の運行拠点駅となっていて、御覧の通り電車が多数待機中。営団や都営など、東京の地下鉄車両がやたらと集まっているのであります。まるで趣味で集めたような状態。熊本電鉄のターミナルである藤崎宮前から少々歩いて熊本市中心部へ。市役所展望台から熊本城等を眺めて、今度は熊本市電に乗って熊本駅へ向かう(写真は上熊本駅で事前に撮っておいたものです)。ちょうど熊本市内を一周した訳であります。何と云う遠回りな行程であろうか!もちろん、熊本駅から博多まで行くのも「こだわり」があって、新幹線も800系に乗りたいばかりに、全駅停車の「つばめ」に乗るのである。なかなかディープな一日であります。肝心の宝塚の話は、また次の機会に。のサイトはこちらから・・