災害報道の使命
記者たちは海に向かった 門田隆将 2014年 津波と放射能と福島民友新聞 過酷な災害の渦中で報道に携わる人の使命は何であるのか、記者と新聞社は報道機関としての使命をどのように理解してどこまで信念をもっていたのか、奇しくもそれらが試された。結果は、100年の地方新聞社の歴史は魂のこもったもので各人の中に生き続けていることが実証されたようだ。 世代、役割、おかれた危機の状況に応じて、各所の各人がそれぞれできることを考え、行動する。その起点は、読者のためになること。取材、執筆、編集、印刷、配送、戸配が同じ起点で自発的に行動している姿に感銘する。混乱の最中に必要とされている情報を集め、届け、人を勇気づける報道を命を懸けて行ったことに深く感動した。 目の前に過酷な状況が繰り広げられ、報道人として、また、人としての行動は容赦のない猛威の前に時として悲劇的結末に追い込まれてしまう。結果に対する自責が、葛藤を生み、未来を縛り、運命の受け入れや鎮魂の決意を促す。 100年の歴史に伝承すべき災害が深く深く刻まれた。