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先日、探偵小説の名作「ナイン・テイラーズ」を、我が生涯の百本の指に入る傑作という事で紹介した。
では、百本の指には、他に何があるのだろうか?
まあ、はっきりって、口からでまかせ、言葉のあやであったのだが、自分でも、さて、じゃあ、今まで読んだ本でベスト100を選ぶとなんだろうと思い始めたら、夜も眠れなくなってしまった。
というわけで、このまま不眠症に陥るとますます血圧も上がりそうだから、百本の指を数えることにしてみようと思う。
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題して・・
百本の指・4本目
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本日ご紹介するのは・・・・
「QBセブン」レオン・ユリス作・宇野利泰訳・新潮社
ロンドン裁判所第7号法廷。
人呼んで、QBセブン。
そこで、ある二つの人生が対決する・・
レオン・ユリスと言う作家をご存知だろうか?
あまり知られていないかもしれないが、「栄光への脱出」の原作者と言えば、ははあんと思う人も多いだろう。
ここにご紹介する「QBセブン」は、「栄光への脱出」に勝るとも劣らない傑作である。
また、裁判小説としての娯楽性を持ち、ある意味、法廷ミステリのベスト10にいれてもおかしくない作品である事は保証する。
物語は、二人の主人公の人生から始められる。
第1部が医師、第2部がジャーナリスト、第3部がその二つの人生がぶつかる場所、QBセブンなのである。
それぞれに止むに止まれぬ宿命を背負い、戦後数十年が経って、それぞれは幸せに暮らしていたはずだった。
人々の命を救い、世界的に有名な医師。
そして、ユダヤ人の血を持つやり手のジャーナリスト。
この二人が、人生を賭けて、QBセブンで対決する。
医師は、実は昔ドイツ軍の人体実験に参加しており、ある日ひょんな事からジャーナリストが、その事実を発見してしまう。
大々的にその事を書かれた医師は、名誉毀損でジャーナリストを訴える。
事実を解き明かしていくうちに、実は裁かれているのは、被告のジャーナリストではなく、医師になっていく。
物語は裁判所の中さえも飛び出してしまう。
裁判を捕虜収容所という異質な舞台に移したとき、戦争という深い傷跡が、人々の前にさらけ出される。
そして、ついにQBセブンで判決がくだされる・・!
その判決とは・・!?
彼らを皮肉な結末が待っている・・
二つの人生を描くだけでも、この小説は「大河ドラマ」である。
その二つの大河をぶつけたときに、新しいクライマックスが待っているのである。
実は、この作品は長時間TVドラマになっており、医師役はあのレクター博士でおなじみのアンソニー・ホプキンスが演じている。といっても、1974年の作品なので、ずいぶんと若いだろうが・・
原作の翻訳が日本で出たのは、このドラマが放映されたあとだったので、私はドラマを先にみていた。
それでも、ドラマの出来も良く、原作もまた優れた小説であるので、十分楽しめた。
ここら辺が長時間ドラマの走りで、この後、あの「ルーツ」で、長時間テレビドラマに、いわゆるテレフィーチャーというポジションが確立する。
しかし、残念ながら、この翻訳は、新潮社から出ていたのだが、現在絶版である。
私の手元にあったはずの本も最近見ない。
今回書いた紹介文も、記憶に頼っているの稲野で、少し違うところがあるかも知れない。
ぜひとも復刊を望む一冊である。
ちなみに、今まであげた百本の指とは・・・
・超音速漂流
・シャドー81
・ナイン・テイラーズ
・QBセブン
あと、96本・・
さて、次なる作品は・・