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カテゴリ:映画・TV
「キング・コング」を見た。
ここ10年間で、最もよくできた映画だと、私が思う「ロード・オブ・ザ・リング」の監督、ピーター・ジャクソンが手がけた、あまりにも有名な元祖モンスター・パニック・ムービーのリメイクである。 正確に言うと、1976年にジョン・ギラーミン監督(「タワーリング・インフェルノ」など)でリメイクされているので、リ・リメイクか? さすがに、29年前に作られた映画は、CGがまだ映画に活用されていない時代なので、特殊メイクや合成、そして話題となった実物大のコングのロボットを使われていた。 それはそれで、面白く迫力もあったのだが、元祖の1933年製作の「キング・コング」にあった、迫力ある恐竜との死闘は、ギラーミンの作にはなく、それを期待した怪獣映画ファン(私を含む)は肩すかしを食った形となる。 それが、CG技術が映画の映像を作り上げる上で必須となった現在、伝奇ファンタジーの雄、ピーター・ジャクソンの手によって、全てのB級映画ファンが期待する大作となって再び生まれ変わったと言えよう。 まず、下げておく。 最大の不満は、ストーリーがあらかじめ見えている点である。 ヒロインの運命や、コングの運命はオープニング・タイトルがスクリーンに映った段階で見えているのだ。 だから、意外性で打ちのめされることはない。 これが、この作品の最大の弱点なのだが、70年以上をすぎての映像作りの腕のあまりの向上さは、前の映像を知っていることによる比較に生まれることに他ならない。 CGの技術が進歩しただけではない。 それにより、作り手側の映像の見せ方の腕が、考えられないほど自由な発想になり、制約がない分、構図やデザインの才能が思わんばかりに発揮される。 よくぞ、このような映像のデザインが構築できたという、驚きを持って、見ることができるのである。 そう、 70年前の「キング・コング」は、新聞や写真による出来事のニュースなら、今度のジャクソン版「キング・コング」は、私たちを、「キング・コング事件」の中に引きずり込んでくれる、現実体験をさせてくれた。 ちょうど、ギラーミンの「キング・コング」も、30年前のお正月に映画館に見に行ったが、2006年のお正月に映画技術の進歩の威力を目の当たりに叩き付けられた想いである。 コングの動き然り、恐竜の死闘然り、そして、1930年代のニュー・ヨークの風景然り、である。 (ギラーミン版は、舞台を現代に変え、最後コングが登るビルは、今は亡き国際貿易センターだった) 劇中、ジャック・ブラックが出演女優を漁るときに、「フェイ・レイはどうだ?」と聞くと、RKOで、クーパー監督の映画に出演中だという台詞があった。 これこそ、当時制作されていた「キング・コング」であるが、何と、「キング・コング」の中で「キング・コング」制作中をネタにするとは!! しかし、たぶん、フェイ・レイが、そこで名前が挙がるほど有名でなかったのは、ご愛嬌か・・ 彼女は、「キング・コング」により一躍大有名女優になり、そのあと、100本以上の映画に出演したが、「キング・コング」以外の出演作を知る人はほとんどいないだろう。 それほど、70年前に作られた映画のインパクトは、強かった。 ピーター・ジャクソンの「キング・コング」も、1933年の「キング・コング」のスタッフの全て、そして、誇るべき絶叫女優のフェイ・レイに捧げられているのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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