朝の通勤電車には、様々な瞬間がある。
それは、決断の時でもあるのだ。
というわけで、
朝の通勤、といっても、会社ではなく、得意先とか現場とかに行く場合もある。
遠方は電車でなく飛行機もあるだろうけど、今日は、近場・・
埼玉の大宮であった。
大宮と言うと、先年、与野市と浦和市と合併して、「さいたま市」になった。
昔、親戚が住んでいたこともあるので、何度か行ったことはあるのだが、それも20年以上前の話だ。
昔は、京浜東北線か東北本線を使って行ってたのが、新幹線が通り、埼京線が通り、さいたま・新宿・湘南ライナーが出来て、何本も東京から行く足が増えた。
私も、渋谷で、埼京線のホームで電車に乗った。
埼京線のホームだが、湘南ライナーも通っているので、たまたま来たのがそれだったから、その電車に乗った。
宇都宮行きである。
それも、どちらかと言うと、通勤客の逆を行くから、空いている。
電車は、渋谷から新宿、池袋、赤羽と停車し、その次が、もう大宮となる。
速い!!
浦和とかの駅もびゅんびゅん通り過ぎていく。
与野の次が大宮だ・・・
・・と思ったら、今では「さいたま新都心」駅が出来ていた。
さいたまスーパーアリーナに行くには、この駅が便利、という奴である。
ふと窓の外を見ると、信じられないようなビル群が、立っている。
与野と大宮の間はほとんど操車場だったのが、これである。
埼玉も、ここまで来たか!!
しかし、でも、いまだに、「埼玉」なんである。
何か、吹っ切れないものがあるのだろうか、と思いつつ、窓の外をぼけーっと眺めていた。
車内放送が流れる。
「間もなく、大宮あー、おおみやでございます」
さて、大宮だと思って、再び、窓に目をやって、飛び込んで来たもの・・
・・・
包茎手術
ががーん
うわ・・・
形成外科、あるいは泌尿器科の「包茎手術」のネオン看板である。
東京から、はるばる、埼玉を代表する駅「大宮」(埼玉県の県庁所在地は浦和だが、街としては大宮の方がでかい)に電車が入らんとする瞬間に乗客が、大宮の入り口として認識する大きな看板。
それが、
包茎手術
なのである。
「ようこそ、さいたま新都心へ」でもなければ、「歓迎・大宮」でもないし、ましてや、決して「Welcome to SAITAMA」ではないのである。
包茎手術
なのである。
初めて大宮を訪れる人は、強烈な印象を持つだろう。
毎日、大宮から東京に通勤する地元の人は、朝、「包茎手術」に見送られ、夜は「包茎手術」に迎えられているわけだ。
人によっては、その看板に切実な願望を抱く人もいるだろう。
私のように、無縁な男性もいるだろう(おいおい、何も、そんなカミングアウトしなくても・・)
やはり、埼玉だった!!!
いや・・
だから、埼玉、なのか??
こうして、強烈な「包茎手術」の記憶を抱えて、私は、仕事に向かうことになる。
そして、帰りは、「包茎手術」に、「また、来てね」と言われるかのように、大宮を後にしたのであった。
こうして、私には、
包茎手術=大宮
あるいは、
大宮=包茎手術
という公式が出来上がることになる。
(なお、この一文は、埼玉の人々を差別・蔑視するものではありません)