先日も「予告編」で書いたけど、私が映画のベスト1は何?、と言われて迷わずあげるのが「エクソシスト」である。
で、その後日談ならぬ、前日談が映画になっている。先日、WOWOWで放映されたので見た。
「エクソシスト・ビギニング」
「エクソシスト」といえば、悪魔が乗り移った少女から悪魔を祓う為に戦う二人の神父のドラマであった。
どちらかと言うと、主人公は、若い方の神父「カラス神父」で、彼を現代社会の象徴として成立していることで理解すると、ベテラン・エクソシストの「メリン神父」よりも浮き立っているキャラであった。
お決まりの続編「エクソシスト2」では、その肝心のカラス神父の存在が忘れられ、その後の少女の行く末とメリン老神父の過去の因縁を描き出すことだけで物語を構成した為に、失敗作。
(まあ、パート2で成功したものは数えるほどしかないが)
さらに、「エクソシスト」の原作者が、作り上げた「エクソシスト3」があるが、そのカラス神父とサブキャラの警部に的を絞ったので、「2」よりかは、好きな作品である。(その証拠に、第1作と3はDVDを持っている)
特に、カラス神父の役者ジェイソン・ミラーが20数年ぶりに登場したことは感激ものであった。(その後、ミラー氏は他界)
というわけで、次に出て来るのは何かと思ったら、やはりパート0「エクソシスト・ビギニング」ということになるわけだ。
(2002年、「エクソシスト」30周年記念ということで、「ディレクターズカット版」が公開されたが、よけいなことをしただけで、そんなほんの僅かのことで、作品の価値が激減していた)
さて、「ビギニング」は、ベテラン神父メリンの若き日に、エジプトで既に悪魔パズズと遭遇していたという物語である。
そして、なぜか、その時、彼は信仰を捨てて考古学者になっているという設定。
第1作で、神父でありながら考古学者でもあるという設定の秘密が明かされるわけだ。
そのわりには、第1作で、「久しぶりだなあ」なんていう会話がなかったのだが、まあ、無視してあげよう。
監督はレニー・ハーリンという「エルム街4」「クリフハンガー」「ダイハード2」など娯楽作品系の監督なので、肝のつかみ所はうまい。
ただ、どうしても見ていて違和感があるのが、メリン神父。
第1作では、けっこう老師の域になっていたのだから、もう少し若い俳優の方がよかったんじゃないか?
という印象が残る。
ただ、CG全盛の娯楽映画界で、(CGは使っているんだが)実写映像の恐怖世界にこだわる点は、立派。
地下に埋没した暗黒の教会に隠された謎など、見所はある。
なお、「エクソシスト」はいろいろその名称を使った亜流映画があるようだが、「エクソシスト」「2」「3」とこの「ビギニング」が正当なもので、あとはインチキ。
しかし、第1作のじわじわと、それでいて叩き付けるような物語と映像の迫力にかなうものは、ないのである。