「死海文書の研究」VS「死海文書 その真実と悲惨」
死海文書の研究池田 裕 (監修), ハーシェル シャンクス (編集), & 3 その他1997年出版かあ。もう26年経ってるのですね。でも12人もの著名な学者が書いてると言うので、読んでみたい。これならきっとまともだろうから・・・。私が持ってて読んでるのが、死海文書―その真実と悲惨 単行本 – 1995/4/1オットー ベッツ (著), ライナー リースナー (著), & 1 その他。こちらは、その名の通り、学術を巡る悲惨な戦いについて、明かされています。つまり、この本が悪いのでなく、どんな悪い本が世にはあるか等を暴いています。実際に起きてる怖い事を知って、知るとゾッとしますよ。例えば歴史家でも考古学者でもない米国人が2人、何も調べる前から「死海文書なんか作られた物で、カトリックの陰謀である!」と決めつけ、そういう内容の本を米国で出版しました。そしてなんと、その本が結構売れました。真実だからじゃなくて、人の目を引く話題だからです。さらにすごい事に、その裏付けのない主張(?)が、なぜかドイツの有名な雑誌に記事として載せられちゃって、それを多くのドイツ人が読んで信じる事になりました・・・。さらにそれは、EUの他の原語にも訳され、さらに世界のメディアにウイルスのように飛び火し、多くの人が怒りや疑念を持つようになってしまい、後からその訂正文がメディアに出ても、新聞のすみっこで、誰も気づかない程度・・・。その影響の深刻さを思うと、この2人の著者の「動機」や、それを調べもしないで拡散したドイツや各国メディアの「意図」を考えてしまいますが・・。真実の所は、死海文書が最初に持ち運ばれたのが、カトリックの司祭の手元だった、ということです。それなのになぜ、カトリックの陰謀に仕立て上げようとしたのでしょうね。半分までですが、読んでいて結構クラクラしました。でも真実と本当に真実ではないものは何なのかを、深く考えさせてくれるのがこの本です。「そんな悲惨な事があったのか・・・」という感想を持ちます。勘違いやこじつけ以前に、何も調べもしない、学者でもない2名のアメリカ人が、こういう真実を捻じ曲げる偽記事を書いて、それが出版に至り、そんな本を通して死海文書の陰謀が広まるなんて、そんなことあるわけ???って最初は思いましたが、あるんですね。しかもその二人、ヘブル語も読めないらしく、出版した本の表紙デザインはヘブル語が鏡文字になって反転してます・・・。こんな本が「センセーショナルだから」というだけの理由で、売れるんですよ。「激アツな話題だから」「メディアが推してるから」って理由で。まさに「悲惨な真実」ですねぇ・・。その話題を今すぐ知りたい人は、ちゃんとそれらしく装丁してあれば、買ってしまうから。伝統ある有名な出版社や、テレビ局を通して宣伝され、立派に本屋に並んでいたり、テレビ放映されていたら、信じてしまう人も多いでしょう。でも、メディアなんて、そんなもんなんだって、この三年で特に思いませんでしたか。私は思いました。思いっきり、自己中な欲望で、真実を平気で捻じ曲げる人々がいるという事を、なんというか、政治的理由以外でも、闇が深いんだなと考えさせられました。そういういろいろな現実を知る上でも、この本を買ってよかったなあ!死海文書の発見の内容そのものは、あまりにもビッグな発見なので、先の紹介した本も読んでみたいと思いました。プロパガンダって、政治だけじゃないんだよね。こうして、大声で嘘をつく人達も、政治家以外にもメディアにも出版業界にも多くいるということなんだなと思いました。だからこそ何が真実なのか、見分けられるのって大事ですね。聖書には、神に従うと真実が見分けられるようになる、と書いてあります。正確には神の霊が、と書いてあります。またそんな話題も書きたいな。機会があれば、ここでまた。