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カテゴリ:イギリス史、ニューイングランド史
「プロテスタンティズムの倫理」と「札幌農学校精神」
ヴェーバーは、「資本主義の精神の発展は合理主義の巨大な発展の部分現象」としつつも、「過去および現在において資本主義文化のもっとも特徴的な構成要素となっている『天職(Beruf)』思想と職業労働への献身と生活の具体的形態は、いったい、どんな精神的系譜に連なるものだったのか」と自問する。(p.94) そしてそれは「禁欲的プロテスタンティズム」(カルヴィニズム、敬虔派、メソジスト派、洗礼派運動から発生した諸派)から生まれたとする。メソジスト派は最初十八世紀なかばにイギリス国教会で生まれ、その発展の過程で国教会かた分離してアメリカへと伝道される。敬虔派はイギリス、ことにオランダで発展した。「ピューリタニズムと呼ばれた禁欲的運動はオランダおよびイギリスで発展し、「独立派、組合教会派、パプティスト派、メノナイト派、クエイカー派を含む」(p.142) ヴェーバーは、十六、七世紀に資本主義が発達がもっとも高度だった文明諸国、すなわちオランダ、イギリス、フランス」(p.144)とする。そしてカルヴィニズムの最も特徴的な教義が「恩寵による選びの教説(予定説)」であった。一六四七年の「ウェストミンスター信仰告白」第三章第三項では、神は人類のうちある人々を永遠の生命に予定し、他の人々を永遠の死滅に予定したとする。この教説が人々に与えたのは「個々人の内面的孤独化の感情」だった。人間は永遠の昔から定められている運命に向かって孤独の道をたどらなければならない。誰も彼を助けることはできない。聖礼典も教会も助けえない。真のピューリタンは埋葬に際しても一切の宗教的儀式を排した。ピューリタン文学のバニヤンの『天路歴程』で、「滅亡の町」に住んでいること気づくと、妻子をふり捨てて「生命を、永遠の生命を!」と野原をかけ去る情景の筆致に描きだされている。 「選びの教説」で信徒一人一人に生じた疑問は「私はいったい選ばれているのか」「どうすればこの選びの確信が得られるのか」だった。その中で二つの類型の勧告が生じた。「その一つは、誰もが自分は選ばれているのだとあくまでも考えて、すべての疑惑を悪魔の誘惑として斥けることを無条件に義務づける」己に召命に「堅く立て」という使徒の勧めが、「あの資本主義の英雄時代の鋼鉄のようなピューリタン商人にみられる「聖徒」が練成されてくる。」「いま一つは、そうした自己確信を獲得するための最もすぐれた方法として、絶え間ない職業労働を厳しく教えこむということだった。つまり職業労働によって救われているとの確信が与えられる」と、いうのだ。(p.179) 中世では通常のカトリック信徒は、倫理の上では「その日暮らし」で、伝統的な義務を誠実に実行したが、それ以上の「善き行為」は一定の生活体系となっていなかった。しかしカルヴィニズムが信徒に求めたのは、個々の「善き行為」ではなく組織にまで高められた行為主義だった。生活態度の全体にわたって、一貫した方法が形づくられた。十八世紀のピューリタン的思想の担い手が、「メソジスト」(方法派)と呼ばれた。あらゆる時と行為にわたって生活様式の意味を根本的に変革することによって自然の地位から恩恵の地位へと開放する恩恵を確知しうる。そのために現世の生活は徹底的に合理化され、独特な禁欲的性格を与えた。いわゆる「紳士」(ジェントルマン)の「類型」がこれである。ピューリタニズムの禁欲は「持続的な動機」を固守し主張する能力を与え、意識的な、覚醒しかつ明敏な生活をなし、無軌道な本能的享楽を絶滅することを課題とし、生活態度を秩序あるものにした。 こうした「資本主義の精神」は近世ヨーロッパとアメリカにおいて展開されたとされるが、「ボーイズ・ビー・アンビシャス・シリーズ」(二宮尊徳の会)全五集が主張するのは、「そうではない、日本においてもプロテスタンティズムの倫理は、札幌農学校、特にクラーク先生――を通じて、直接日本にもたらされた。そして、内村鑑三・新渡戸稲造・広井勇らによって、「倫理的な色彩を帯びた札幌農学校精神」が日本中に影響を与えたとする。 *これこそが「ボーイズ・ビー・アンビシャス」シリーズにおいて資料を通じて解明してきたことがらにほかならない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022年08月03日 14時41分55秒
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